謎
たまに会うと菜乃花は、オレに話しかけてくれる。
「りおと、友達できた?」
と。
「あー…うーん…」
「あのね、りおとのクラスに田口くんって人いるでしょ?あの人もたぶんサッカー部入るってよ。りおともサッカー入ると思うよって言っておいたから話しかけてくれるかもだよ。よかったね」
と、菜乃花はにっこりした。
「え…その田口くんと菜乃花は、何繋がりなの?」
「塾だよ」
…
「へー…ってか、なんか…ありがとな」
「いいよーん」
そう言うと菜乃花は、元気よく去っていった。
知らなかったーー‼︎
塾ってそんなに大事な場所だったんですねーー‼︎
オレは塾に勉強にしか行っておりませんでした…
…
知らんかったわー
塾って…塾って勉強するだけじゃなかったんかー…。
少し違う意味でお勉強になりましたわい…
あぁ…それにしても菜乃花には、ほんと助けられてばっかりだなぁ。
ありがとう。菜乃花〜。
後ろ姿の菜乃花にまた、お礼を述べた。
それからは、なんだか部活見学とかで放課後とかも忙しく、菜乃花にあわなくなった。
その数日後、廊下で手を洗っていたらいきなり隣で手を洗っていた女子が
「長袖のジャージわすれたわー」
となぜかオレに向かっていってきた?
⁇
なぜオレにいってきたのかわからなかったけど、とりあえず
「あー…、おつー」
と返しておいた。
一瞬、菜乃花に話しかけられたかと思ったわ。
でも、オレは眼鏡をかけていなくても菜乃花の顔は、すぐにわかる。
だって、ずっと同じクラスだったし遠くからでもあの眼鏡は、すぐに見つけられる。
あと、髪型もいつも一本縛りだし。
あぁ、菜乃花は元気かなー…って元気に決まってるよな。
コミリョク半端ねーからな。
今頃、また新しい友達つくってんだろうな。
それから数日が過ぎたけど…なんか最近菜乃花を見かけなくなった。
どうしたんだろ…
学校休んでるのかな?
菜乃花のおかげで田口くんと友達になれたから報告しようと思ったんだけどな。
ちょっと心配になって、隣のクラスの宮内に聞いてみた。
「なぁ、みやうー。最近菜乃花いなくね?休んでる?」
と。
するとみやうは、
「あー、そうかもなぁ」
といった。
「え?いるくね?」
と、菜乃花の同じクラスの男子が小声で言っていた…ような…。
え?
どっちなん⁇
まぁ、どちらにしても心配は、心配だ。
そんな心配なオレが廊下を歩いていると、また知らない女子がオレに、
「よっ」
と挨拶して通り過ぎていった。
…
誰だよ…⁉︎
ビックリするわ…。
…
今日こそ菜乃花を見かけなかったら、オレは菜乃花に連絡してみようと思っている。
で、やっぱり本日も菜乃花を見かけなかった。
だから菜乃花に夜連絡をしてみた。
最近学校休んでる?と。
そしたら、まだ一回も休んでないよー。
というメッセージとウェーイみたいなスタンプが送られてきた。
…
まぁ、別に菜乃花の教室覗き込んで菜乃花探ししたわけでもないからな。
ただ会わないだけだろうと軽く考えていた。
でもさ、一か月しても会わないって…今までそんなことなかったのにな…。
おかしいな…。
まさか菜乃花…転校しちゃった⁉︎
転校しても毎日学校行ってたら休んでないってことになるか。
…
オレはみやうに相談してみることにした。
休み時間、みやうのもとへ行くとめっちゃ親しげに女子と話をしていた。
あの子最近オレにも話しかけてくる子だ。
みやうと仲良いから友達の友達は、もう友達でしょ?って認識されているのかな。
…
みやうは、オレに気づいてこっちに来てくれた。
「なんかわりぃ。女子と話してたのに」
と謝るとみやうは、
「あぁ、別にいつも話してるからいいよ」
というじゃありませんか‼︎
いつも⁉︎
めっちゃ仲良し〜
もしかしてみやうは、あの子のこと好きなのかもな。
たしかによくあの子と話してるの見かけるわ。
「みやう、もしかしてさっき話してたかわいい女子のこと好きだろ?」
とつっこんでみた。
すると、
「かわいい…か…うん…まぁそうですね」
なんていうんですよ?
みやうは、何をおっしゃっているんでしょうかね。
まったくさ。
照れて動揺しているのかな?なんて考えていたら、
「もしかしてやっぱり、りおとってあの子のこと好きなんだ?」
とニヤつきだす。
「オレ、好きな子いるし」
とこたえるとみやうは、びっくり顔で
「え、そうなん?」
なんてオレをジーッとみた。
…
「うん。でも告白する間もなくオレの前からいなくなりやがった。」
「え?どういうこと?」
「菜乃花だよ。あんなにずっと一緒だったのにさ、いきなり黙って転校とか普通ありえないだろ?」
…
プグッ
みやうは、一瞬むせたのかそれとも吹き出したのか?とよくわからない声みたいなのをあげた。
そして、
「あー、転校って…なー。マジありえねーよなー」
といいながら自分の教室の方に視線を向けた。
そしてまた吹き出したのかむせたのかわからないけど、みやうはプグッと変な声を出していた。
みやうは、謎な人間だ。
続く。
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