第18話 瑠美子先生
「見たことあるって言うか…私は…」
「嘘下手なんですね。」
煽るように喋るあっきーをドキドキしながら見る、そんな単刀直入に行っても…
「福井 有紗って名前に聞き覚えあるでしょう?」
「な!」
「もう、逃げられませんよ?」
何から逃げるのかいまいち理解できないが、雰囲気に押されて瑠美子先生が喋り始める。
先生ちょろいな…
「有紗先輩は、私の友達でした。」
急に語り出す先生の言葉に聞き耳を立てながらも録音する。
「先輩は文化祭の日の夜、屋上の上から突き落とされたんです。」
唇を噛み締めながらしゃべっている瑠美子先生。
「あの日、私が…先輩に…!」
〜二十八年前〜
「先輩!一緒にご飯食べましょう!」
腰までの三つ編みをなびかせながら振り返った女性は、少しメガネの位置を直して私を見つめる。
「いいよ、いつものとこに行こうか。」
彼女は笑顔で私に近づき、一緒に屋上へ行く。
「それでさぁ〜、」
「何それ〜!」
他愛ない話をいっぱいして、くだらないことで笑って…
そんな毎日が楽しかった、一生続けばいいと思った。
なのに、私が彼女との日々を壊してしまった。
「先輩はいいですよね、顔がすごく整ってるし、スタイルもいいし…コミュ力抜群だし…」
いつのまにか、彼女に対する憧れと…少しの妬みで、私は彼女にそう言った。
「そうかな…私は瑠美が羨ましいよ。友達もいっぱいいるし…あれ?誰だろう、このメール…福井 茜?」
ガラケーを確認しつつも謙遜する彼女に苛立ちを覚えて、話してるうちにいつのまにか、
「死んでしまえばいいのに、」
と口に出してしまった。
ほんの少しの妬みが爆発してしまっただけだった。
なのに…
「先輩、いますか?昨日のこと、謝りたくて…」
文化祭の夜、屋上の階段を登る先輩が見えて追いかけてみた。屋上のドアを開けたその時、先輩は誰かから突き落とされた。黒い服装や背丈からして中学生ではないことがわかった。
大学生か、高校生か、成人なのか、わからなかったけど…明らかに中学生ではなかった。
〜今〜
「先輩はきっと、私のせいで…」
鑑賞に浸っていると、その空気をあっきーが壊した。
「話の途中に出てきたメールって!?」
「メール?あぁ、なんか携帯のメールに知らない番号から福井 茜って送られてきたんだって。ただの生徒のいたずらだと…」
あっきーが珍しく声を上げる。
「その携帯ってまだある!?」
「いや…流石に昔だし、確か携帯はいつもポケットに入れてたから警察とか家族に渡ったんじゃ…」
私はやっとメールと茜さんの死を結びつける。
私のお父さんを殺した…
私たちは家に帰ってすぐに有紗さんに連絡する。
あっ!テレビのリモコン踏んじゃった!!
『おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめ…』
「はぁ?昨日はちゃんとこの番号から…!」
「あっきー!見て!」
イライラしながらも何かをメモするあっきーに声をかける、私が指を刺したのはテレビだ。
『福井 有紗さんが胸を刺されたところを発見され病院に搬送されましたが、その後に死亡が確認されました。警察によると、』
「クソッ!!」
テーブルを叩いて悔しげに眉を顰めてるあっきー。
『さらに、彼女のスマホが紛失しています。これは、』
あっきーの手に握られた鉛筆が折れる。有紗さんが…
そういえばあっきーは何で探偵をしているんだろう、復讐のためって…誰の復讐のためなんだろう。この歳で探偵なんて。
思えば思うほど、私はあっきーのことを何も知らないのだと悟る。
そう思ってしまうと、なぜかあっきーと喋る時ぎこちなくなってしまった。
〜〜〜〜〜
こんちは!雑学探偵あっきーだよ!
今日の雑学はこれだ!!
実は、あっきーと美希のご飯は基本美希が作っているよ!他にも美希はいろんな家事を手伝ってくれてまじで助かってる!
ちなみに美希がうちに来る前は僕は基本カップヌードル生活だったよ。料理する時は冷蔵庫に賞味期限ヤバめのものがあった時くらい!
以上、雑学探偵あっきーでした!
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