第17話 押される心配

「先生〜、」


まだほとんどの先生が職員室に残っていた。私たちはあゆみ先生に声をかける。


「あの、私の知り合いが確か二十八年前に三年二組にいたらしいんですけど…その時のクラスメートで同窓会的なことをするらしくって…えっと、」


私が無理やり話を作っていると、あっきーがファローしてくれた。


「それように、三年二組の名簿が欲しいらしいんです。二十八年前の名簿、ありますか?」


「あら?ごめんなさい、ちょうど二十八年前の名簿がないの。ちょっと待ってね…

瑠美子先生、二十八年前の名簿ってありますか?」


「えっ?あ、えっと。二十八から三十年前の名簿はどこにもなくて…どうしたんでしょうね…?」


私たちは顔を顰める。






「こうなったら瑠美子先生に直接聞こう!!」


あっきーが家の中でノートに色々書きながら言う、え?






「て言うわけで、屋上に先生を呼び出すことに成功しました〜。」


「本当にできたの!?」


今日はラッキーなことに、瑞稀は休み。他のみんなは生徒会室で食べてるので、2人っきりだ。


「美希はそこで隠れて録音してほしい。」


そう言われて私は屋上のさらに上のとこに登って携帯を構える。


それからちょっとして、瑠美子先生がやってきた。

その瞬間、あっきーが柵の上に登ったのだ。


「彰人君!!」


「あっ、先生…」


「何してるの!?降りなさい!!」


潔く降りたあっきーに先生が言う。


「何してたの!?ただの遊び心なのかもしれないけど、もしも後ろから押されたりしたら…!」


焦っている瑠美子先生にあっきーは問いかける。


「押される心配なんですね、普通は自殺の心配をすると思います。」


「!!」


え?あっきー?


「見たことあるんですか?押されるとこ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る