第16話 二十八年前
「あっきー、新聞部の過去新聞にはやっぱ何も書いてないよ。」
私たちが学校終わりに、部活の部屋に残っているのはちゃんと理由があった。
〜昨日〜
「私は福井ふくい 有紗ありさって言います。」
肩より短い茶髪とぱっちりしたお目目、優しい顔立ちが印象的だ。
「今回依頼したいのは、わたしの姉の死因なんです。」
そのまま淡々と話していく有紗さん。
「姉、福井 茜あかねは二十八年前、15歳の時に亡くなりました。
中武中学校の屋上から飛び降りたと言われています。」
私は目を見開いた、瑠美子先生は今41歳。有紗さんのお姉さんの2個下だ。
私の頭の中で2人の話がつながっていく。
「けど…私には姉が自殺するなんて信じられなくて、絶対何かあると思うんです!!」
目には涙を浮かべながら、必死に喋る有紗さんを見て、あっきーが呟く。
「…二十八年前?」
あっきーが下を向きながら顎を手で押さえて言った、その言葉は有紗さんには聞こえなかったようだ。
すぐに前を向いたあっきーが話し始める。
「…自殺という形ですでに収まってる上、三十年ほど前のことです。何も手掛かりをつかめない可能性がありますが…」
「構いません!!お金も前払いで何もつかめなくても払います!!」
現金で渡された大金を見て、私は少しばかり苦笑いを浮かべたのだった。
〜今〜
って感じで、私たちは今新聞部で過去の新聞や、その年の大きなイベントを見ているのだが…
「やっぱり…」
そう言ってあっきーが二十八年前の文化祭についての新聞を見せてきた。
「ここに書いてある三年二組の集合写真、一部切り取られてるでしょ?こっちも、こっちも!」
そのクラスの出し物はどうやらお化け屋敷のようだった。私は瑠美子先生の言葉を思い浮かべる、確か自殺した子もお化け屋敷だった。
「僕がネットとかで調べた時も、この年の文化祭の写真とか…確か三十年前から二十八年くらいのも全部、写真が消されてるんだ。なぜかそこの…約二年半だけ抜けてたから疑問に思ってたんだ。」
つまりは学校側か誰かが全て揉み消したようだ。となると、茜さんについては何も…
「…職員室に、昔の生徒の名簿とかないかな?」
あっきーが呟くように言ってこっちを向く。
私たちは顔を見合わせてすぐ、職員室へ走る。
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