第11話 体育館
私たちは体育館の前に着くとドアを開ける、と同時に寒気がした。
「え…?」
私は思わず声を出す、だってそこには誰もいないから。そう、誰もだ。真っ暗な体育館は壁まで見えないのが不気味だった、歩く音もしなければ虫の音も、さっき聞こえた悲鳴さえも恋しくなるほどの静寂さ。そこまで寒いわけでも、暑いわけでもないのに、鳥肌が立って汗をかいていた。
「瑞稀…?あっき…!」
恐る恐る二人の名前を呼ぶと後ろから口を塞がれドアの影に引っ張られた、私は少し上を見ると見えたのはあっきーの綺麗な金髪だった。思わずあっきー!と口に出そうとするが塞がれる、
「っし、」
そう言ったあっきーは体育館倉庫を指差す、いつもしっかり戸締りをしてるその倉庫は開いていたのだ。ゆっくりとしまっていくドア、突如明かりのつく体育館。
「瑞稀は…?」
私は嫌な予感がしてあっきーに聞くと彼はポケットからスタンガンを出した、どうやって入っていたのだろう…
「僕の後ろから離れないで…」
「その必要はありませんよ、」
女にしては高い、男にしては高い、まるで瑞稀のような声の高さだが声質が全く違う。私たちはふと音の方向を向くと影として使っていたドアに手が見える。
「みーつけた♪」
あっきーの言う通りだ。これはきっと、幽霊よりも怖い…私は思わずあっきーにしがみつく。
「美希、手離して。」
恐る恐る彼から手を離すとあっきーは体を低くして男性に走っていく。スタンガンが当たって男性が倒れたその瞬間、体育館倉庫が開く音がしてまたもや違う男性が出てきた。
「動くな、スタンガンを置いて手を上げろ。」
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