第10話 悲鳴
「開かない…」
瑞稀が学校の正面玄関を開けようとドアに触れた時、彼女はこっちを向く。
「そりゃそうでしょ、」
あっきーが呆れたようにいう、え?開かないってこと予想してたの!?
「どうしようか。こんな田舎の学校、監視カメラとかついてないし石とかで…」
「ダメでしょ、」
あっきーはポケットから針金を出す、鍵穴に入れてガチャガチャといじり始めて数秒で鍵が開く。プロだ、探偵というよりは…
「泥棒のプロだ。」
瑞稀の言葉で私は吹き出す、私たちって本当に気が合うな…!
「今度私にもやり方教えてよ、」
「あっ、私も知りたい!」
瑞稀の言葉に反応するとあっきーは呆れた顔をしていった。
「誰の家に盗みに行くの?」
「「盗みになんか行かないよ!面白半分!」」
ものすごいジト目をしたあっきーが私たちから一歩離れる、なんで…!
「ここだよ、」
瑞稀が携帯のメモを見ながら3階の女子トイレに入る、
「噂によると3番目のトイレを3回ノックした後に、花子さん、こんばんはって言えばいいらしい。」
瑞稀の携帯を覗くと綺麗にまとまった七不思議の内容があった、ていうかあっきー…
「ここ女子トイレだよ?」
「僕をここまで連れてきたのは君たちだよ?」
「まあいいじゃん、こんな時間誰もいないし。花子さん?こんばんは?」
笑いながら3番目のドアをノックする瑞稀。それから1分ほど待ったが返事はなく、ドアを開けても誰もいなかった。
「デマだね、2番目は違うと…ここから近いのは6番目、屋上の柵で踊る女性。白色の着物のような服に長い黒髪らしい、噂では昔飛び降り自殺した踊子の幽霊だとか…」
瑞稀が携帯をいじりながら言うとあっきーが興味深そうに言う。
「踊子か…江戸時代くらい?」
私たちは屋上へ行ってみるが誰もいなくて次に近い7番目の一段増える階段へ行ってみた。
「昼間は13段なんだって、」
「11、12、13…上りも下り13段だね。」
いつのまにか登り始めたあっきーが2階から降りてくる、これもただの噂のようだ。次は4番、笑い出す人体模型。
「これも嘘だね、もう四つもなくなっちゃった…」
残念そうにする瑞稀に私は少し恐怖を覚える、あとは…
「1番、夜に鳴り響くピアノ。3番、どこからか聞こえる悲鳴。5番、0時ごろに明かりがつく体育館…もうすぐです12時だし体育館の方に…!」
「キャアアアアアアア!!!」
何処かからそんな悲鳴が聞こえた、音の方向からしてあっちの…!
「体育館の方からだね、」
走り出す二人に私は涙目で言う、
「え?行くの…?」
「なんのために来たの?ほら走って!」
瑞稀がこっちを振り向くが足は止めない、私は覚悟を決めて二人を追う。
「待って、置いてかないでよ!」
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