第5話 赤いワンピース

「確かこの前結婚したんですよね?おめでとうございます!」

ちょっと何言ってるの!?

「平山さん…?」

小町という女の子の母親、平山さんの浮気相手が平山さんに問う。

「私たちはまだ結婚してないよ!仕事も色々忙しくてね!ほら、花、小町、行こう!」

「そうだったんですね、ではまた。」

あっきーはにっこりして急ぐ3人を見送った。携帯の録画ボタンを消した後は私の方を見てこう言った、

「浮気だね!」

あっきーの笑顔は私には少し怖く見えてしまった。


「こちらが証拠動画、音声、写真になります。浮気相手はこちらのことを知らないようで、あちらには子供がいます。」

「そうですか…ありがとうございます!家に帰って夫と話してみます。」

平山さんは白くて綺麗なワンピースをなびかせながら立ち上がる。

「はい、何かあったらまたご連絡ください。」

そう言って平山さんを家に返すとあっきーはまたもや違う服に着替え出した、私も服を着替える。今度は白い長袖に青のジーパン、青い帽子というシンプルな姿だ。あっきーは灰色の長袖に黒いジーパン、後は伊達メガネだ。

「行くよ、」

「どこに?」

「わからず着替えたの…?」

「あっきーにつられて…」

するとあっきーはため息と一緒に少し微笑みこう言った。

「子供に罪はないからさ、」

「??」

「行けばわかるよ…多分。」

多分なの…?


「公園で待ってどうするの?」

ここはうちの学校の近くの小さな公園だ、遊具は滑り台、ブランコ、砂場くらいしかない。私たちはベンチで座ってさっき買ったサンドウィッチを食べる。

「うーん、浮気相手の子の小町って子いたじゃん。あの子はたいていこの時間にお母さんと、時々お父さんも一緒にここにくるんだ。そのことを平山さんに教えたからさ、」

私は思いつく、もしかして…?

「平山さんが浮気してるとこに平山さんがきて、そしたら平山さんが平山さん…?」

どっちも平山さんだった、どう説明しよう…

「浮気野郎は陸、調査を頼んできたのは千代さんだよ。」

「えっと、陸さんが浮気してるとこに千代さんが来て、そこで陸さんの浮気相手を含めたみんなで今後のことを話し合うってこと?」

「うーん、だったらいいんだけど…あぁ、来たよ。」

左からやってきたのは陸さんと浮気相手と小町ちゃん、3人はまっすぐ砂場に行った。ちょっとしてから反対方向からやってきたのは千代さんだったがさっきと違い真っ赤なワンピースを着ていて、なぜか手を後ろで組んでいるようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る