第4話 小町

「十希、出てきたよ。」

会社の出口から一人で出てきたのは平山 陸さんだった、一人で歩いていくのをついていく。

「この先はカフェがあるけど…会社の人とわざわざ待ち合わせまですることないだろうし、嘘をついたという可能性が高い。」

「ていうかあの手紙だけでも立派な証拠じゃない?調べる必要ってあるの…?」

ずっと疑問に思ってたことを言う。

「裁判の時に慰謝料を確実に請求する為か、もしくは浮気を信じたくないか…カフェ入ったね、僕たちも入るよ。」

「うん!」

私たちはカフェに入って席まで案内してもらい、運良く平山さんが座ってるとこの近くに座れた。店員さんに注文を聞かれ私はココアを頼む。

「僕はコーヒーで。」

「コーヒー飲めるの?」

「うん、好きなんだ。」

あっきーって私と同い年だったような…

「平山さ〜ん!」

「花…!」

平山さんのテーブルにやってきたのは綺麗な茶髪の女性だった。

「何頼む?奢るよ。」

「えっ!?そんないいのに…!」

そっからは他愛ない話しかしてない二人、決定的な証拠がないな…

「あっ、平山さん…このあとお願いがあって…」

「どうした?」

私たちはその会話に食いつき、耳を澄ませる。

「一緒に小町を幼稚園にお迎えに行ってほしいの、彼女最近パパに会いたいって聞かなくて…」

あっきーはもう録音をし始めている、つられて私も喋ってる内容をメモする。

「あぁ、もちろんさ。」

そのあともカフェから出る二人を追う、ていうかあれ?

「私たち学校サボってるようにしか見えなくない?」

「大丈夫大丈夫、少し低身長のカップルにしか見えないから。」

低身長って…

「あ、幼稚園からでてきた。動画撮るよ。」

まるで自分たちをとっているかのようなポーズで平山さんたちを撮る、すごい…プロだ!幼稚園から一緒に出てきたのはカフェで喋ってた小町という女の子だろう、平山さんとどこか似てる顔で、サラサラした茶髪をちょんまげにして結んでる。あっきーが動画のを切って再び撮り始め、ポケットに入れた。そして、五百円玉を転がす。

「あっ!五百円玉、待って!」

すると転がった先にいた小町という女の子が拾ってくれた。

「あぁ、ありがとう。お礼に飴玉あげるよ、」

ポケットから飴玉を出し女の子に渡す。

「ほら小町、なんて言うの?」

「ありがとーう!」

「ありがとうございます…娘さん、お父さんにそっくりですね。」

「あぁ、できれば花に…こんな綺麗な母親に似て欲しかったんだが…」

「素敵です…あれ?もしかして平山さん?」

「そうですけど…?」

私はそんな会話をあっきーの横で聞く、なんで平山さんって…

「確か先日結婚したんですよね?おめでとうございます!」

「えっ?」

私は驚きを声に出してしまった。

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