第3話 浮気調査
「昨日連絡した平山 千代です、よろしくお願いします。」
「佐藤 輝です、こっちは犬田 十希です。」
あっきーにつられて私もお辞儀する、依頼優先とのことでまだトラックから荷物は下ろしていない。
「早速ですが依頼内容は旦那さんの浮気調査で間違いありませんか?」
「はい…」
この人こんな若いのに旦那さんいるんだ…
「では、ご主人との関係や依頼のきっかけを教えていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい。彼とは大学からの付き合いで、先月結婚しました。結婚と同時に同居を始めたんですが、彼の部屋に私のものではない女物のアクセサリーを見つけて…少しずつ不安が膨らんでしまい、彼の鞄の中を少し漁ったんです。そしたらこれが…」
彼女は綺麗な茶色いバッグからファイルを出し、さらにその中から小さな紙切れのようなものを出した。それをあっきーが手にした、私も覗くとどうやら旦那さんに向けられたメッセージのようだった。
無理して来てくれてありがと、すごく楽しかった!お母さんも平山さんのこと気に入ってるし、
いつか一緒に住める日が来たりして♡
「これは…」
確かに浮気っぽい…て言うか徹底的な証拠じゃん。
「かしこまりました、では旦那さんの名前などをお聞きしても?」
すると平山さんはさっきのファイルから写真を出した。
「平山 陸、詳しくは裏に書いてあります。すみませんが歯医者の予約があるので…」
「はい。ありがとうございます、何か掴めたらすぐに連絡しますね。」
そうして平山さんは帰って行った。
「じゃあ美希、荷物片付けるよ。」
「あ、うん。」
そうして私はあっきーについて行った。
「ふぅ、」
これで全部片付け終わったかな?この家の間取りも代々把握できたし…この家は玄関から入ると左にガレージへつながるドア、その奥にトイレと物置、さらに奥に2階につながる階段がある。右側には依頼とかを聞くためのリビングがある、二つのおしゃれな赤ピンクのソファに茶色いテーブル。白い棚の上にはテレビがあって、反対には大きな窓…と言うか庭につながるドア。この部屋の奥のドアを開けるとカウンターキッチンとダイニング、その奥には年中出てるであろうこたつにL字ソファ、そして大きな人をダメにするクッション。この部屋にもテレビが棚の上にある、棚は黒色だ。二階には一番手前に私の部屋、その隣にあっきーの、奥はお客様用の部屋がある。あとはお風呂にトイレとベランダがあるくらいかな…?
「美希、終わった?」
「うん!ありがとう!」
何回目かわからないお礼をする、って言うか意識してなかったけど…男の子と、しかも同い年と同居って。
「ラブコメみたい…」
「何が?」
「いや、なんでも。」
自分だけ意識しちゃってるなんて恥ずかしいし。
「?今から浮気調査始めるけど十希も来てくれる?」
「うん!もちろん!」
「じゃあ着替えるよ、まずは伊達メガネに…」
それから服を受け取り私は部屋で着替えた、さすが本物…本格的だ…
「着替えたよ、」
私は普段ハーフアップにしている髪をお団子にしてキャップをかぶり、伊達メガネをつけている。さらに普段は着ないような大人っぽい茶色のロングスリーブにベルト付きのロングスカート。黒い肩掛けバッグと、まだ手に持ってる黒いスポーツサンダル…これはだいぶいい感じなんじゃないか?
「じゃあ行きますか。」
ちなみにあっきーはいつもつけているグラサンに黒い帽子をかぶっている。白いTシャツと黒いズボンに黒いジャケット、黒いウエストバッグをつけて全体的にシンプルだ。
「うん!」
「バッグの中に入ってる携帯と財布、水は君のだから。」
「はーい…え?」
私はバッグを開けると中には黒い財布、携帯、水のペットボトルが入ってた。
「えぇ?えっ、えっ、えぇぇ?え⤴︎え⤴︎えぇ⤵︎??」
「語彙力大丈夫?」
「私ここまでしてもら…」
「今日の平山さん、前払いだったからさ。その分頑張ってね。」
平山さん…?何円払わせたのだろう…
「頑張ります…」
まだ呆気に取られながらも玄関で靴を履く、あっきーは靴箱から綺麗なスニーカーを出した。こまめに手入れしてるのかな?
「じゃあ十希、まず旦那さんは今日会社の人達と食事をしに行くらしい。会社に行って待ち伏せをする、あとこの資料に目を通しておけ。」
「はい!…うぇ…」
もらった資料はたった2枚の紙だったが文字がそこそこ小さく、かなりの内容でやる気が失せて変な声が出てしまった。いやいや、仕事だからちゃんと目は通すよ…?
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