第19話 町の炎

だいぶ暗くなってきたこの森に、赤く不気味にひかる炎に私は囲まれている。


「琥珀さんって、この国に住んでるんですか?珍しい名前ですよね。」


覚えているだろうか、私の魔法について。


「あぁ、生まれも育ちもこの国だ。母の方が違う国出身でな。名前は…」


なぜ私がこの火の海で火傷をしないか…


「琥珀さん、何で町を燃やしたんですか?」


私の“吸収”は吸収した魔法に耐性ができたり、操ったりできる。つまり、私はこの魔法を一度吸収したことがあるのだ。


「…」


「この前、街が燃えたのは知ってますよね?」


「…」


「何で、燃やしたんですか?」


一次試験の後、アロとロアに琥珀さんに近づくどころか魔法を見せるなって言われていた。2人は琥珀さんが町を燃やしたとわかっていた…

または、そう予想している…?


私が何を言っても黙り込む琥珀さんをただ見つめる。


どうしよう、後先考えず突っ込んできちゃったけど…


「お前は何で俺が燃やしたと思うんだ?」


「魔法だったから…」


「…?」


「町を包んでた炎は、魔法だったから。」


「そこまでわかってたら、俺以外にも選択肢はあるだろう?」


「?」


笑いながら喋る琥珀さんに眉を顰める。


「あぁ、お前もしかして知らないのか?」


「…」


何のことだ…?

何だか私はこの先を聞いてはいけない気がして、嫌な空気の中、バレないように唾を飲み込んだ。


「ルカ!!」


どこかからか急に出てきたアロに驚く前に、琥珀さんがバカにするように言った言葉に驚く。


「炎魔法は、王族しか使えないんだぜ。」


「ルカ!ミアがこっちに倒れてるぞ!!」


アロは魔力切れを起こしたミアを使って私をその場から無理やり離す。アロも聞こえただろう、琥珀さんが言っていたこと…


「アロ…」


「…」


ミアのところに辿り着く。隣の崖が壊れてるのを見て、アロが壊したのだとわかるが…どんな力をしているんだ。


なんてことを考えながらアロに問う。


「アロ、炎魔法が…!」


私が口を開いたと同時に、蛍のような光が私たちを囲う。何これ…虫??


正直言って私は虫が嫌いだ。理由は単純、気持ち悪いから。

そして今飛び起きたミアも虫が苦手なのだろう。顔が青ざめて、小刻みに震えているいる。


私とミアが身を縮こませ、アロが少し楽しそうに虫を捕まえようとしてた時だった。地面からロンさんが飛び出てきたのだ。琥珀さんも走ってくる。


「何だ、高みの見物してるんじゃなかったのかよ?」


アロが舐めた口調で言うと、ロンさんは震えながら言った。


「た、たすけて、くれ…」


「はぁ?何に怯えて…!!!」


ロンさんが出てきた地面から、大きなモグラのような魔獣が出てき多。

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