第16話 メガネ女

「キャァー!!!」


「ミア…ちょっとうるさいかな。」


私は崖の上から降ってきた茶髪のゴツい男と三つ編みメガネ女、どうやら崖を作ったのは男性の方らしい。女性は腕輪を一つ、男性の方はゼロだ。


この崖は大きすぎて吸収にかなりの魔力を使ってしまう、すぐ魔力切れになって気絶するだろう…

部分的に吸収できればいいのだが私にそんなコントロールはできない。


「ねぇ、ちびっこ2人組。悪いことは言わないからさ、その腕輪置いてどこか行ってくれない?」


「この崖でどこに行けと?」


気持ち悪い笑みを浮かべながら言う男に苛立つ、

崖があったらどこにも行けないだろ。


「あはは、そうだね!それで…答えは?」


「腕輪は渡さない。」


「そっかぁ〜、」


そう言葉を合図のように、女性の方が走ってくる。

私はミアの腕を引っ張って彼女をこっちに寄せるが…


「!」


ものすごい反射神経だった、体をくねらせてこちらに殴りかかってきたのをうまいこと受け流す。


やばいな、パンチを喰らった腕がヒリヒリする。


あれ…?


「ミア…?」


私が掴んでいたミアの腕の感覚がなくなる、彼女はメガネ女の腕の中だった。


「は〜い、この子に傷がついてほしくなかったら腕輪をちょおだーい。」


今何が起きた?私は確かにミアの腕輪掴んでいた、なのに今ではメガネ女に口を塞がれている。あいつの魔法は何だ?


考えろ、考えろ!

どうすればミアを…

とりあえず頭の中を整理しよう。


私が今使えるのは…


アロとロアの炎、だがこれは緊急事態にしか使うなと言われている。


魔法練習の時吸収した泡、だがこれは街でやってたイベントの泡を少し吸収しただけだから攻撃力もなければ、少量だ。


あとは一次試験の時吸収した魔法だがほとんどが少量すぎて使い物にならない。


くそっ、ローザさんの魔法吸収しとけばよかった。

ロアに止められたのだけど…


「あ、」


私はその時ローザさんからもらった瓶を取り出す、ローザさんが作った蓋を開けると大きな風を起こすと言う瓶だ。つまり瓶の中にはローザさんの魔法が入ってるわけだ。


瓶の蓋を即座に開けて手をかざす。


「吸収!」


眉を顰めて様子を見てる敵にローザさんの技をお見舞いする。


「放射:ウィンドスラッシュ!」


メガネの女性のメガネが弾け飛んで壁まで押しやる。ローザさんと違って、肉体を切るほどの力はないが好きができなので十分だ。頭を打ったようで、痛そうに堪える彼女と、そこに駆け寄る男性を見る:


一箇所に固まってくれれば好都合だ、このまま残りの風魔法で!


なんて思ったのも束の間、私は後ろに移動したメガネに殴られる。


どうやって…痛みに堪えながら後ろを振り向く。

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