第15話 炎魔法
「おい!大丈夫か!?」
俺が声を上げると琥珀からの能天気な声が耳に届く。
「俺は大丈夫だ!」
しかしルカたちの方から声がこない、少し心配になったがそういえば2人とも人見知りだからな…
いや、ルカの場合は人見知りというより無口か…
「大丈夫です!」
そのミアの声を聞いて頬を赤らめてまで大きな声を出している彼女と、隣で耳を塞ぐルカの姿が俺の頭の中に浮かぶ。
「結構大きい壁だ!合流しよう!!」
「!!」
俺が嫌々、琥珀の言うことを聞こうとした時だった。
さらに大きな壁で出口を塞がれた上、地面が凍ったのは。
「キャァー!!!」
「!!」
ミアの叫び声や、琥珀の方から爆発音などが聞こえる。どうやら倒さなきゃ合流は難しそうだな。
そのまま俺らはそれぞれ戦闘体制に入った。
「!」
足元が凍って身動きが取れなくなると、ザ・雪男という見た目をしたオッサンが俺の前に現れる。何となく予想していたのでそこまで驚かない。
それよりも驚いたのは、壁だけではなく天井ちょっとずつできて行こうとしていたことだ。どうやら完全に閉じ込めようとしているようだ。
「お前はこの密閉されてゆく空間で1人静かに凍っていくことになるだろう!はーはっはっは!!」
俺はすぐにそいつに殴りかかる。
だが体格差、筋肉、その他諸々の問題で俺の拳は全く効いてない様子だ。
相手は俺に物理攻撃はしてこないものの、
天井で空からの光が徐々になくなっていくにつれ、俺の体を動きにくくなる。
この空間の温度もそろそろ0度に到達する頃だろう、ただでさえ体温の高い俺の息はものすごく白に等しい色になっていた。
「そろそろ辛いんじゃね?」
敵の煽りにイラっとする、よく見ると相手は腕輪をつけてなかった。もう取られたのか…
「なぁ、腕輪だけ置いてってくれねぇ?そしたら数日眠ってる程度にしか痛めつけないからよ、」
俺は口の中の唾液を吐き出して相手に笑いかける。
「置いてくのはお前の方になると思うぜ?」
似たようなことを腕輪を取られた相手に言われたのか、それともただ単に短期なのか…
ピキっという音と共に頭に血管が浮かび上がってる。
それを合図に相手の攻撃の強さが上がっていく。
俺はその攻撃をできるだけ避けながらひたすら我慢をする。後少し、後少しだ。
「お前は、全く攻撃をしないんだな!?もしかして魔法が使えないのか?」
嘲笑うその表情にかなりイラっとくるが、頑張って耐える。後ちょっと、後ちょっとなんだ…
後少し、ギリギリまで…
「おっ、そろそろ天井が全体に覆われてこの場所の温度がもっと下がるだろうな。まぁ、俺が息できるために完全には密閉されはしないから安心しな。」
「へぇ、いい情報をありがとう。」
俺がニコッと笑うと、敵さんは能天気に笑って俺に報告するのだ。
「お、天井が覆われた…!」
するとこの空間の氷が溶け始める、やっとだ!
やっとこれで誰にも魔法を見られない…
「なっ!炎魔法!バカな…そんなはずは…」
「そのまさかだよ、」
俺は奴に殴りかかろうと、助走をつけて飛ぶ。
「そんなはずは…炎魔法は、一般人は使えないはずだろ!まさかお前王z!」
その言葉を言い終える前に敵の顔に俺のパンチが入る。
「ファイアーパンチ」
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