第11話 スライム

気を抜いてると後ろから何かが飛びかかってきた、前を向いてた私だが練習した魔力探知ですぐに気づく。が、だからって避けれるわけではないのだ。私は後ろを向いて顔を腕で隠した時だった、後ろから引っ張られた。いつのまにか瞑ってた目を開けると黄緑のスライムのような物体がローザさんを覆ってた。

「エアースラッシュ…」

声には魔力がこもってるのに、魔法が発動していない。

「このスライム魔力を吸収してるのか!?」

アロの言葉に救われる。もしもスライムの魔法が魔力を吸収することなら、私はその魔法を吸収するだけだ。

「何やってんだ!逃げろ!坊主じゃこれは…!」

私はローザさんを無視してスライムに触れる、

「吸収」

その言葉と同時にスライムは溶けていった。魔力を吸収する魔法に、魔法を吸収する魔法、勝ったのは私のようだ。しかも魔力がなんか増えた…?

「ローザさんの魔力をそのままルカが吸収したんだろう、」

「なるほど、返します。」

私はローザさんに触れて魔力を返す。

「えっと、放射しちゃダメだよね…魔力をこう、渡らせる感じ…」

壊滅的な語彙力でも私の魔法には伝わったようでローザさんに魔力を返すことができた。

「ありがとう、坊主…いや、ルカ。助かった。」

「あ、えっと。それほどでも?」

なんて返せばいいのかわからなくて少々上から目線になってしまっただろうか…?

「あ、それと私女です。」

「は?」

「あなたと同じ女です、」

ローザさんが困ったように私を見る。

「まじか、」

「まじです、見ますか?」

着ているコートのチャックをおろそうとするとロアに止められる。

「コラ!」

これ以外証明方法がないんだけど、まぁいいか。それから私は溶けたスライムの液体のようなものをローザさんからもらった瓶に詰めてポケットに入れた、そういえばこれが初めて倒した魔物だ。最深部に向かってると何匹もの魔物に遭遇して一人1匹倒すと言うのを達成した頃だった、大きな門の前に黒髪ポニーテールの女の人と、黒髪ツインテールの女の子がいたのだ。

「ねぇ、君達。ちょっと協力してくれない?」

一昨日もいたらしい二人は私たちの声をかけた。

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