014
「旦那様の隠し子ですか、あり得ますね」
弟さんは亡くなってしまったらしいが。
腹違いの俺の兄さんか…残念だな、一目会って見たかった。
「…そう、ブレイおじさん亡くなったの、悲しい」
ブレイってのは、親父の偽名か、安直すぎる。
いや、貴族になる前の名前か?そうだった気がするな。
「弟さんは、病気で?」
「ん、治したかった、でも駄目だった」
俺が生まれる、二年前に生まれた兄、か。
亡くなってしまったけど。
親父は、ふらっと消えたと思ったら戻ってきて、親子が暮らせる一財産を置いて、又去って行ったらしい。
酷い男だな、と思ったが、セラフィの母親は納得してたから、恨んではいないと言う。
それに、その時期は確か、親父が叙勲して貴族になった頃だ。
…何故、貴族になんか成ったんだろうな、そんな性格じゃないと思うんだが。
「…つまり、セラフィさんは、俺の義理の姉?」
「そう、
…実感は沸かないな。
まあ、血は繫がってないから、仕方ないか。
さて、かなり衝撃的な事実だった理由だが、パーティーの件はどうしようか。
うーん、嘘は付いて無い、だけど…。
俺はマリーに目配せする、こう言う時はマリー頼みだ。
さて、どう思う…?軽く首を横に振った、まだ何か有るか。
ならば、もうちょっと突いてみるか。
「セラフィさん、親父の事で、もうちょっと二人で話せない?」
「ん、分かった」
さて、どうなるか。
◇◆◇
で、セラフィさんの泊まってる部屋に来た。
「それで、まだ疑ってる?」
「あー、まあ、ぶっちゃけ?」
バレてら、ハハハ。
「いや、セラフィさん…俺の事が弟に似てたから、気になったんだよな?」
「うん、そう」
「どこかで会ってた?」
「…偶然、街中で見かけた」
「昨日、この街に来たばかりで?」
「…あっ」
俺は昨日、ずっと師匠と修行してて、街になんて居なかったんだよ。
この人、潜入とか向いて無いな。
「本当は、もっと前に会ってたんじゃないかと思って。
例えば、違う人物に成りすまして…レックスと一緒にいた治癒術師とかに」
「…なんで、バレたの?髪色も変えてたのに」
いや、マジか。
言ってみるもんだな。
「いや…『浄罪』が、そろそろ接触してくるかなって、半分当てずっぽうだよ」
「カマをかけられた、やられた…」
「まあ本当は、おっぱいのデカさで分かったんだが」
「…。」
やめて、ジト目で睨まないで!
いやだって、あんなデカいのが!そんなに居るわけ無いだろ!!
「次は、サラシで押さえる」
「無理じゃないかな…」
限度があるから。
「俺は言いふらすつもり無いけど…正体バレたからって、ミカをどうこうしようってなら許さないぞ?」
あいつは、友達だからな。
まあ、俺じゃ闇ギルドなんか相手にならないだろうけど。
「大丈夫、ミカエル様は、組織のトップ」
「ミカエルって…ミカが首領なのか…?」
やっべー奴とキスしちやったな!?
「監視に来たのは事実、でも建て前」
むしろ、監視を建前に俺に会いに来たと。
「ん、ミカエル様の正体、知ってる人ソコソコ居る。
適度にバラして、わざと目立ってる」
ああ、敢えて目立って、組織を宣伝する役目かな?
まあ、派手な仕事っぷりだもんな。
「レックスの件は、やっばりワザと?」
「そう、私の仕事は地味め」
こっそり、事故に見せかけてやる系な。
「しかし、あの時と喋り方全然違うよな」
「ん、リミちゃんのモノマネ」
誰だか知らないが、知り合いの真似で乗り切ってたのか。
リミちゃん、性格きつそうだな。
そういえば、さっきの親父の真似も、激似だったな…。
「とにかく、監視は口実、義弟に会うのが本命」
「職権乱用したのか」
図太いな。
まあ、危害を加えるとか、そういう心配は無くなったか、良かった。
◇◆◇
「元々、弟の仇を取るために、入った」
世間話が重い…。
「…復讐、か」
「…治るように毎日、魔術をかけ続けた、三年位」
…そんなに長く。
「弟が亡くなる頃、私は神聖魔術を、覚えた。
呪いだった、気が付くのが遅かった…」
一歩、遅かったのか。
しかも、弟さん呪いで死んだのか…。
俺も、呪いで死にかけたんだよな。
「呪った奴は、誰だったんだ?」
「ん、もう終わった、それが最初の仕事」
「…殺したのか?」
「まさか、ちゃんと今も『浄罪』してる」
どんな目に遭ってるのか…まあ、自業自得だな。
輝夜が言ってたっけ、人を呪わば穴二つ、とか。
「しかし、レックスの所にはどうやって潜入したんだ?」
「ギルドカード、偽造した」
「…え、そんな事出来るの?」
「簡単、うちの組織、千年前に勇者が作った」
「は、はあ?!」
「名前を変えながら、ずっと続いてる」
ウソだろおい?!何だそれ?!!
何気に爆弾なんだけど!!
「勇者は、聖人君子じゃない。
裏の顔も、結構ある」
…綺麗事だけじゃ、世の中良く出来なかったのか、そりゃそうだ。
王国の貴族なんか見てたら、尚更そう思う。
「弟が死んで、治癒と呪いの解呪、ずっと研究した、だから会いに来た。
義弟、呪われてる」
「…え?俺呪われてるの?!」
それを教えに、会いに来てくれたのか…。
「でも、呪われたのは赤ん坊の時なのに…」
「ん、多分、残滓が残ってる」
そうなのか。
でも、一体どんな影響が出てるんだ。
「ちょっと、上脱いで」
「え?あ、はい」
脱がされるのにも、慣れたなぁ…。
「ん、やる。
隔離領域展開、空間魔素排除、魂魄波形同期、高深度解析開始、『ソウルアナライズ』」
おお、何かカッコいい!!
頭から魔法陣がゆっくり降りて、全身をなぞってる。
これで調べてるのか、凄いな、仕組みがさっぱり分からん。
「…解析完了、ん…、解った」
「おお、早い…で、どんな呪いだったか聞いて良い?」
ワクワクするな…いや、ワクワクしちゃ駄目だろ。
緊張するな、死ぬ様な呪いじゃなきゃよいけど…。
「結論から言う、これは『邪神の呪い』」
…は、何て?
◇◆◇
――千年前。
邪神は、この世界に『呪い』を掛けた。
それは、全ての知恵ある生き物の、『天敵』を生み出す事。
『魔物』『魔族』『魔王』…これらは全て邪神の尖兵であり、世界への呪いだと言われている。
『魔の者』達は、存在した瞬間から人類――亜人・獣人・妖精すべての人族――へ、殺意を持つ。
また、『魔の者』たちは、世界の呪いで『人類の天敵』と言う概念を持たされており、人はこれに対応出来ず、徐々にその数を減らしていた。
滅亡すら視野に入った頃の事。
異世界から来た勇者は、この呪いを消そうとして…出来なかった。
だが、勇者は諦めなかった。
勇者は、発想を変えた。
強大な『邪神の呪い』を消すのでは無く、逆に『相乗り』したのだ。
『魔王は聖剣で滅ぶ』、と言う概念を『邪神の呪い』に上書きした。
それは『勇者の祝福』とも呼ばれたが、原理的には呪いと同じ。
『祝福』は、『魔王』だけでなく、その配下の『魔族や魔物』にも、大きな影響を及ぼす。
『聖剣』は広義で解釈され、『あらゆる武具』が、『魔の者達』に対しての『弱点』になる。
もちろん、その中でも『聖剣』の効果は絶大だったが。
冒険者に、剣を武器に選ぶ者が多いのは、この為。
これにより、それまで全く刃が立たなかった『魔の者達』に、対抗出来る様になった。
『邪心』の恩恵が強い者ほど、その効果は大きく、上位の『魔族』になると、武器や防具を手に取る事さえ出来なくなった。
そう、『祝福』は、『魔族』や『魔王』が、武具を手にし、更なる強さを得ることも許さなかったのだ。
これにより、それまで太刀打ち出来なかった『邪神』の下僕たちを押し返し、人類が巻き返しを図れる好機を生み出したとされる。
◇◆◇
「――剣を持つと、力が抜ける。
鎧が、息苦しくて、動けなくなる。
短剣は、手から零れ落ちて、杖は、集中を乱す。
…心当たり、有る?」
「あ…ああ??…あああっ?!」
そう言う事か。
そう言う事なのか。
そうなのか…。
「震えてる、落ち着いて」
「…うん、大丈夫」
落ち着け、落ち着くんだ。
俺に剣の才能が無い事は、ずっと知ってただろ。
原因が分かっただけだ、今迄と何も変わらない…。
◇◆◇
「ん、大丈夫?」
「…うん、ありがとう、セラフィさん」
気がつけば、セラフィさんはずっと手を握っててくれたみたいだ。
「私の事、姉さんって、呼んでいい」
「え?あ、うん…でも、何か弟さんに悪い――」
「姉さん」
…有無を言わせないな、この人。
「…
「ん、それでいい、ウィン君は、義弟」
どうしよ、血の繋がってない、横乳爆乳シスターの『姉』が出来た。
…まあ、後で考えるか。
「それで義姉さん、この『呪い』は治るの?」
「無理」
無理かぁ、しかも即答。
「ウィン君の身体、魔力を作れない。
代わりに、外から吸収してる、すごい。
でも、原理が分からない、まるで精霊。
この呪い、魂と一体化してる。
魂は神の領域、いじれない、そっくり交換でもしないと、駄目」
無理じゃん。
「結局、なんで俺は『邪神の呪い』なんて受けたんだろう」
「ん、違う、それはオマケ」
ん、どういう事??
「本命の呪いは、別、それは解らない。
ウィン君に残る呪いは、あくまで、残滓。
私は、それを解析して、見つけただけ」
…つまり、現在の俺の症状しか分からないと。
そして、恐らく呪いは意図した物じゃない訳か。
「でも、その傷痕は、邪神に関する物、それは間違い無い。
それも、かなりエグい、ちょっと引くレベル」
「引いちゃうか」
本当、誰がそんな呪い俺に掛けてくれやがったのか。
「考えられるのは、『邪神教』」
「え?それガチでヤバい連中じゃ?!」
てっきり、義母の実家の貴族が関わってるのかと。
「一介の貴族には、無理。
その貴族、邪神教徒?」
「…違うと思う」
自分が一番偉いと思ってる連中が、神を信じるかな?
「『邪神の呪い』は、邪神の影響が強い魔物ほど、効果がある。
ゴブリン位、弱いと、逆に武器も持てる。
ウィンの呪は、簡単に言えば、Bランクの魔物、下位くらい」
成る程、結構強い呪かな?
「まあ、俺は一生、剣は握れないって事か」
「…解呪出来るか、考えてみる…けど…」
「いや、無理しなくていいよ…義姉さん」
最初から、諦めてた話が…はっきりしたってだけだし。
聖剣なんか握ったら、どうなるのかな、火傷位はするか?
兎に角、良く解ったよ。
俺は、勇者にはなれない。
◇◆◇
「義姉さん、俺の兄さんって、何故呪われたんだ?」
「ん、『邪神教』は、英雄や勇者の卵を、消してる」
将来の勇者を出さない為に、暗躍してるのか。
「弟は、剣の才能が有った。
しかも、英雄の血を引いてた。
だから、目を付けられた」
英雄の血、か…。
「俺が呪いを受けたのも、同じ理由かな」
「ううん、手口が違う。
『邪神教』の呪いは、魂を邪神に捧げるため」
…呪を通して、そいつの魂を邪神に送ってたのか。
「ウィン君のは別物、残滓でアレ、呪いのレベルが違う。
それに、赤子は大して力が無い、殺した方が早い、無意味」
成る程、赤ん坊の魂を捧げるメリットは少ない理由か。
何で俺は、呪いを受けたのか…。
単純な、貴族のいざこざじゃ無かった可能性が出てきた。
「…義姉さんは、親父のこと、知ってるのか?」
「…聞いた、凄腕の冒険者、元Sランク」
親父め、結構色々話してたんだな。
「…それに、多分…召喚勇者の血を継いでる、はず」
「…だとしても千年じゃ、血は薄くなってるだろ」
俺もそうじゃないかとは思う。
親父は、はっきりとは言わなかったけど。
マリーと一緒に王都の神殿で見た、あの双剣の、勇者の花嫁の像を、思い出す。
「剣翼の戦姫、『剣聖ディーバセレナ』…」
多分、あの人の末裔なんだろうな。
「…弟は、…きっと、勇者に成れた」
義姉さんは、確証を持って言ってるな。
身内の贔屓目とかは無しだろう、本当に強かったんだろうな。
「ウィン君も…勇者になれた、かも」
「それは無理だよ」
呪いが無くても無理だった。
身近に、もっと才能ある女の子が、居たから。
本物の天才が、居たから。
「大丈夫、剣が無くても、ウィン君は英雄になる」
「…なんで、そんな?」
「私の弟、だから」
…うん、その謎の、弟への信頼感は何??
「私が、すっごい神聖魔術、教える。
既に、輝夜さん…
出世しない訳、無い、勝った」
「あ、そういう事か…」
そういや俺、世界有数の魔術師の弟子だったわ。
普段ドジで可愛いし、パンツばっか見せてくるから、そういうの忘れるんだよな。
その上、義姉さんがすっごい魔術教えてくれると。
これは勝ったな、ガハハ。
「所で義姉さん、すごいってどんな魔術?」
神聖魔術って最高位らしいけど。
「ん、落ちた腕をくっつけたり出来る」
「やばいな…痛そうだけど」
すごいけど、あんまりそういう状況になりたく無い…。
「大丈夫、教える時、なるはやで切り落とす」
「え、俺の?!」
やだやだやだ!痛いのやだーーー!!
「それはそうと、義弟にお願いが有る」
「なんだい義姉さん」
「抱きしめさせて欲しい」
「…あの、理由を聞いても?」
最近、こう言うの多い気がするんだが。
「…ウィン君は、弟とは違う、ブロウ君じゃない、分かってる」
「ブロウってのが弟さん…じゃなく、俺の兄の名か」
「うん、でも、居なくなった…寂しい…」
「…だから、代わりに?」
「…ん、ごめんなさい」
亡くなった弟と重ねてるのか。
で、スキンシップしたくなったと。
「いいよ、てか水くさい、俺はセラフィ姉さんのおとうとだし」
「…あ、ありがとう…!」
いいんだよ、今まで頑張った姉を、労うのは当たり前だ。
「うう…ごめん…ごめんなさい」
「…泣かないで、姉さん」
いいんだよ、今は俺をブロウだと思っても。
「頑張ったの、頑張ったけど駄目、だったの…」
「分かってるよ、俺もブロウも、ありがとうセラフィ姉さん」
ああ、俺までもらい泣きしてきた。
いいな、こう言うのが家族何だろうな…うんうん。
親父は家を空けてたし、家族と呼べるのはマリーくらいだったし。
…セラフィ姉さん、結構腕力有るな。
「どうしたの、ウィン君、疲れた?」
「いや、そうじゃないんだけど、もう少し手心を…」
「ん、私知ってる、男が疲れたら、こうする」
うお!力強っ!
そしておっぱいでっか!!
うおぉぉ!た、谷間に吸い込まれる!?
「ん、元気でた?」
な、なんだこれ!?やばいぞ!!
顔がおっぱいに挟まれた状態で息を吐くと、谷間から空気が抜けていく!
だが、息を吸おうとすると、乳の肉が吸引に巻き込まれて邪魔される!
逆止弁だ、おっぱい逆止弁だ!!
し、死ぬ!肺の空気がカラになる?!
タップ!タップ!!たすけて!!
「!!!、!!!!!、!!!!」
「ふふ、元気になった」
あ、やば。
落ちる…。
…。
◇◆◇
「いち・に・さん、いち・に・さん
ふぅー、ふぅー、ふぅー」
…ん、あれ?
俺は今、何してたんだっけ…。
確か、ものすごい大きなおっぱいに包まれて、天国に…。
「ふぅー、ふぅー…あっ」
「あっ?」
セラフィ姉さんと、目が合った。
仰向けに寝転がされてるな。
で、さっきから俺の口と、姉さんの口が合わさってる。
???
「救命行為、人工呼吸」
「あ、ハイ」
「じゃ、続き」
「うん、え?いや俺もう目が覚めっんっんんっ!!」
「んー、れろれろ」
ああもう、また?!
最近キスされるの多すぎない?!
まあ、ディープなのは初かもな!!
「っぶはー!姉さん落ち着け!!」
「ごめんなさい、味わってた」
「美食家かっ」
「それと、絞め落としてごめんなさい」
「まあ、それは大丈夫だけど」
訓練とかで何度か、親父に絞め技で落とされた事あるし。
「で、最後なんでれろれろしちゃった?」
「ん、口内の健康を診てた」
「ウソつけ」
「なぜばれた…」
分かるわ普通。
「つか、魔術使えよ」
「…はっ!」
おもしれー女だな、この人も。
「ごめんなさい、反省の証に、私を罰して」
「いや、気にして無いからいいよ」
「ん、気が済まないから、私のお尻を叩いて」
「何言ってんだお前」
おい、やめろ、尻を突き出すな。
「ん、ごめん、スカート捲ってなかった」
「やめろ!まくるな!パンツを見せるな!!」
またこれだよ!!
何だよそのヒモみたいなパンツ!!
「叩いてくれるまで動かない」
「…何なのマジで」
仕方ない、やるか…。
…。
こいつ、尻もデカいな…。
…。
「いくぞー、せーのー」
ぺちんっ
「はぁ…全然駄目、気合が足りない」
「あ、ハイ、すいません」
ダメ出しされちゃった。
「次日和ったら、ベロチューじゃ済まない」
「はい、わかりました…」
何なんだよもう…。
仕方ないな…もういいや、思いっ切り行く!!
「いくぞー!せーの!」
バチン!!!
「んんっ!!!」
「はい終了ーーー!!これ駄目だわ!!今日はもう店仕舞いだよ!!!!!」
あーダメダメ!えっちすぎ!!
何なのこのマゾ豚巨乳は!!!
「仕方ない、次はもっと頑張って」
「次が有るのか」
勘弁してくれ。
あと、尻を早くしまえ。
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