第23話 躍動と平和
...違和感はあった。
というより、話の食い違いに等しい。
俺は2、3週間前の夜、あの男を目撃していたのだ。
公園で1人黄昏るあの男を。
それが同じ日だという確証はなかった。
けど、きっとこの事実によっておそらくそれは確証に変わる...。
鷺ノ宮の家に来ていたあの同日、俺もあの男を目撃していたのだ。
...つまりはそういうこと。
1人でも厄介だったあの男は実は双子だったのだ。
何とも笑えない冗談だ。
ありえるか?こんなこと...。
あいにくこちらには気づいていないようだ。
「おい、鷺ノ宮。一旦あっちにいくぞ」
「...はい」
そうして、横断歩道を渡り反対側の道路から奴らの動向を監視始める。
そもそもこんなところで2人揃って何をしてるんだ?
「...先輩、あれって私の目の錯覚とかそんなんじゃないですよね?幽霊でもドッペルゲンガーでもなく、双子ってことですよね?」
「まぁ、そうなるだろうな」
「それって、激ヤバじゃないですか?双子ってことはどっちもやばいってことでしょ?」
「いやいや、分からんぞ?1人は正常で止めるためにここにいるのかもしれないし...」
「希望的観測もほどほどにしてくださいよ」
そのまま2人を追う。
しかし、その日は特に何事もなく彼らは家に帰るのだった。
「...やばいですよ、あれ。なんであんなやつが今まで普通に過ごしてきたんすか?あり得ないっすよ、まじで」
「...俺に言われても分からないけど...。とりあえず世上さんには今以上に色々と気をつけるように言っておかないと...」
「...仲直りしたんすね」
「...まぁな。けど、付き合ったりは考えないから。今の俺は...誰かと付き合うとか無理だから」
「そうですか。まぁ、そんな感じに保留にしてたらきっといつか向こうの愛も冷めちゃいますから、丁度いいかもですねw先輩は独り身がお似合いですからw」
「...相変わらずひでーな。鷺ノ宮は」
「けど、寂しくなったらいつでも私に声をかけてください。手◯キくらいならしてあげますからw」と、卑猥な手の動きをしながら楽しそうに笑うのだった。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093079255576138
◇AM6:30
しかし、波乱の予感と裏腹にまた1週間ほど経ったが何も事件は起こらなかった。
「先輩。もうちょっと脇を絞めてくださいよ」
「こうか?」
「うーん、なんか違うんだよなー」と、神田と岡崎と朝練をしているとそこにやってきたのは同じクラスの女バス2人だったわ、
「あは、マジで増えてる。1年生?かわいいーw」
「...誰っすか?あの人」
「うちのクラスの女子。女バスのな」と、耳打ちをする。
「弱いのに朝からご苦労だね」と、開幕煽られる。
「...はぁ」
「はぁっ、何?ムカつくんだけど」
「...すみません」と、無視して練習をしようとするが、今度はボールが入ったカゴを盛大に倒される。
「ごっめーんw倒しちゃったーw」
「ちょっと、やめなよーw」
しかし、神田は何事もなかったかのようにカゴを直してからこう聞いた。
「先輩達って女バスのレギュラーなんですか?」
「...それ今関係ある?」
「大有りじゃないですかwバカでも猿でも名前さえ書けば入部はできますよ?w」
「ぁ?お前、誰に口聞いてんの?」
「ならやります?2on2。俺と先輩と、あんたら2人で」
「いい度胸してんじゃん。やってやるよ」
「ちょ、神田...」
「いいじゃないですか!先輩がどれほど成長したかを確認するのにちょうどいい相手じゃないですかw」
「...1年のクソ坊主が」
「よろしくお願いしますwばばぁ」
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