第6話 初クエスト

 俺とラーミスさんが握手を交わした瞬間、ギルド内に驚きの声が響き渡った。何?怖いんだけど……そんな男と女が手握りあったくらいで騒ぐとか小学生かy───


「うおぉおお!!!一度も男と触れたことがない『鉱姫こうき』がどっかの馬の骨と握手をしたぞ!!!」

「これはファンクラブが黙っちゃいねぇな!」

「あぁああああああラーミス樣ああああああ!!」


 ギルド内は阿鼻叫喚、最早カオスと化していた。いや鉱姫って何?ラーミスさんのことか?というかファンクラブって何だファンクラブって、こっちにも日本と同じような文化があるのかよ。でも確かにさっき聞こえた、ラーミスさんが男に触れたことがないのが本当なら、そりゃ大事にもなるか。


「ごめんカオル……私が握手なんてしたから」


 未だに騒ぎ続けているギルド内を見ていると、ラーミスさんが申し訳なさそうな顔をしながら頭を下げてきた。


「いえ、全然大丈夫ですよ。握り返してしまった俺も悪い訳ですし」


 握手に関しては何の躊躇もなく握り返した俺にも非があるはずだ。だが、それよりも美少女の手に触れられたことの方が後悔よりも嬉しさが上回るんだよね。


 あ、感想としてはフワッフワのスベッスベでとても柔らかかったです。





 *****





 あの後、ギルドマスターと名乗る人物が2階から降りてき、騒ぎまくっていた冒険者達に説教をかました。そのかいもあってか、ギルド内は落ち着きを取り戻していた。


「それでは、こちらがカオル様のギルドプレートになります。紛失した場合は罰金を支払ってもらうのでご注意を」

「ありがとうございます」


 受付嬢からプレートの付いたネックレスのようなものを受け取る。受付嬢、ソフィアさんの説明を聞くと、このプレートは冒険者の階級を表すものらしい。銅、銀、金、聖銀せいぎん冥金めいきん階級と分けられており、クエストをこなしていくと階級があがるんだとか。


 当然、冒険者になったばかりの俺は銅階級からのスタートだ。ちなみにラーミスさんは金階級、二個上の先輩だ。彼女は今、手頃なクエストを探しに行っている。


「えーと……あっいたいた。ラーミスさん、冒険者登録終わりました」


 壁に貼られた紙を見定めるように見ていたラーミスさんの元へ駆け寄り、声をかけた。


「ん、無事に終わって良かった」

「あ、あはは〜……名前と年齢だけで良かったです」


 ほんとにスキルとか聞かれなくて良かった。聞かれてたら俺の今後に影響が出ていたかもしれない。

 不名誉すぎる名を付けられたお前らのせいだぞ第五代魔王と死の錬金術師!


「ところで、ラーミスさん。真剣にクエスト選んでるとこ悪いんですけど、何で鉱姫って呼ばれてるんですか?」


 俺はさっきから気になっていたことを聞いた。


「ああ、それは……あー、見てもらった方が早い。ん!丁度いいクエスト発見。これ受けよ」


 見てもらった方が早いって……一体どんな由縁でそう呼ばれてるんだ…?まぁ、見せてくれるは見せてくれるみたいだし、良さげなクエストも見つかったぽいし、まぁいいか。


「で、どんなクエストなんですか?」

「ん、ゴブリンの巣窟の破壊。推奨階級は銀で報酬も銀階級にしては中々。行こう」

「あの、俺銅階級なんですが……」

「大丈夫。カオルが殺ったオークは推奨階級銀だから。いざとなったら守ってあげる」


 少女に守られる俺氏。それは周りから見てどうなんだろうか……


 俺はカウンターにクエストの紙を持って行っているラーミスさんの逞しい背について行った。






 ------------

 えちょまです。

 ラーミスが鉱姫と呼ばれる由縁とは?!

 それじゃ

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