第2話 初めて魔法を使う

 俺は今、鬱蒼と生い茂る森の中を全力で走っていた。所々木漏れ日が差し、ピクニックのような気分だ。


「こんな化け物さえ居なきゃな!!!」


 後ろを振り返ると、豚に人間の胴体が生え、手に丸太を握っている怪物が確認できる。俺知ってるぞ、あいつ絶対にオークって奴だ。


 異世界じゃゴブリン、スライム、コボルト並んでの定番なモンスターだな。見れば見るほど不気味だ。と言うかラブコメみたいに曲がってぶつかるのは美少女だけにして欲しいね!


「つまりお前はお呼びじゃないってことだよ豚野郎!!」

「ニンゲンッ!コロスッ!」


 ……喋ったんだが???あもしかして知能とかある感じの……うんそうですよね!明らか俺が豚野郎って言った時にキレましたもんね!


 幸いにも移動速度は遅いようで、何とか逃げれてはいるが……それはこちらも同じ。足場の悪い所を走りづつけているせいか、段々よ体力の底が見えてきた。これは非常にまずい、このまま体力が尽きれば即オークが持っている丸太でプレスだろう。


「この状況を打開出来る方法は何かないもんかねぇ?!」


 一心不乱に逃げながら、打開策を回らない頭で必死に考える。呼吸が乱れてきている中で、ひとつ思い浮かんだのは、俺のスキルである『毒魔法』。


「クソッ!毒魔法なんてどんなイメージすりゃいいんだよ!!」


 謎のメモ帳に書いてあった魔法の使い方。それは魔法に対するイメージだ。例えば火魔法なら火が着くイメージをすればいいし、水魔法なら水道の蛇口から水が出るようなイメージだ。


 なら毒魔法は?


「んなもんある訳ねぇだろ!第一、毒のイメージなんてヤバかったら死ぬぐらいし、か……」


 あったわ、俺が前世で学んだのが。俺の死因である、フグ毒……テトロドトキシンはたったの少量でも人を殺せる毒量を誇る。


 もしそれを毒魔法としてイメーシ出来たら?

 答えは単純、あいつを……殺せる。

 確証は無いが、恐らくあいつほぼ人間構造変わらないはずだ。毒耐性は……無いと信じよう。


 これは賭けにしかならないが、物は試しだ。


 頭の中で俺は前世の俺をイメージする。もがき苦しみながら、死んでいった自分を。

 絶え間ない激痛が俺を襲い、死にいたらしめた毒を、俺はイメージする。


 手に何かが収束していく。


「これは……?」


 いつの間にか俺の手のひらには、魔法陣ようなものが浮かび、その上にはこれは毒と言わんばかりの紫の球体があった。もしかしてこいつが、俺が毒魔法でイメージした……


《『毒魔法:トキシン』を獲得しました》


 脳内で突然、機械音声のようなものが響いた。一体何なのかは分からないが、オークの足音が近づいて来ているのに気付く。


「こうなったら……ぶっつけ本番じゃい!!」


 俺は謎の機械音声のことは後回しにし、覚悟を決める。後ろを振り返り、オークを見据えた。眼前にまで迫っていたオークにビビりながらも、俺は手を正面に突き出し、何故か覚えたばかりの毒魔法を放つ。


「『トキシン』!」


 そう唱えると、紫の球体は一直線にオークへ飛んでいき、直撃した。直後、オークの動きが止まる。


 まさかこれ、効いたのか……?


 その証拠として、目の前のオークは泡を吹きながら白目を剥き、立ったまま完全に絶命していた。


「……ははっ、やれば案外出来るもんだな」


 俺は安心し、汚れなど気にせずに地面に倒れ込んだ。半端ない疲労感が身体を襲い、身体が言うことを聞かなかった。もしかして魔法を使ったからだろうか……?兎に角、1歩動きたくないぐらいだ。


 あぁ、やべ。眠くなってきた……こんなとこで寝ちまったらや、ば………


 何とか寝ないようにと堪えたが、襲いかかる睡魔には耐えられず、ここで俺の意識は深い闇に沈んだ。






 -----------

 えちょまです


 手始めにフグ毒、テトロドトキシンから。

 まずテトロドトキシンは神経毒であり、高い致死性を持ちます。食後20分から3時間までに口や指先の痺れが起こります。頭痛や腹痛を伴い、致死量を摂取するれば呼吸困難で死ぬこともあります。


 こゆ感じで毒の説明していこかね。

 それじゃ

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