第3話

カフェで田中誠からの情報を受け取った香織と涼介は、事務所に戻り、緊張感が漂う中で作戦会議を開いた。証拠を机に広げ、二人はその内容を精査しながら、今後の行動を決定していた。


「田中さんから得た情報は確かに貴重だわ。この臨床試験の捏造に関するデータは特に重要ね。」

香織は書類の一つを指しながら言った。


「しかし、これだけでは足りない。企業の実行犯や、それを指示した人物にまで繋がる証拠が必要だ。」

涼介は腕を組み、思案顔で答えた。


「まずは、田中さんが提供してくれた内部告発者のリストを元に、関係者への接触を試みましょう。その中で信頼できる人物を見つけて、さらに詳しい情報を引き出すの。」

香織の提案に涼介も頷く。


二人は手分けして、リストにある名前の一つ一つに接触を試みることにした。最初のターゲットは、企業の元研究員である佐藤という人物だった。彼は現在、郊外の小さな町に隠れるようにして住んでいた。


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香織と涼介は、郊外の閑静な住宅街にある佐藤の自宅に向かう。玄関に到着すると、香織がドアベルを押した。しばらくして、警戒心の強い目つきの中年男性がドアを開けた。


「佐藤さんですね。私たちは探偵です。お話を伺いたいのですが。」

涼介が丁寧に切り出す。


「何の用だ?俺はもう関わりたくないんだ。」

佐藤は怯えたように答える。


「わかっています。でも、あなたの知っていることが重要なんです。私たちは真実を追求し、あなたを守ります。」

香織が真摯な表情で言う。


佐藤は一瞬逡巡した後、ため息をつきながらドアを開け、二人を中に招き入れた。


「わかった。話せる範囲で話すよ。でも、俺の身に何かあったら…」


「安心してください。私たちが必ず守ります。」

涼介は力強く言った。


佐藤からの情報は、企業の不正行為の核心に迫るものだった。彼の話によると、臨床試験の捏造は上層部の指示で行われ、その背後には更なる陰謀が隠されているという。


「これでだいぶ全貌が見えてきたわ。次は、企業の上層部に直接アプローチする必要がある。」

香織は決意を固めた表情で言った。


「香織、気をつけろ。これから先はますます危険になる。」

涼介も同じ決意を胸に、警戒を強める。


二人は新たな手がかりを元に、次なる行動に移る。企業の闇を暴くため、香織と涼介は決して諦めず、真実を追い求め続けるのだった。

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