3
「良い、一回しか言わないからよく聞いて」
「あぁ」
何とか天飼を叩き起こしたチエロは、真剣な面持ちで対面に座った。
「天界に茜鐘がいることが分かったの。パスカルに調べてもらったわ」
「……茜鐘……!」
天飼の眼の色が変わる。
「茜鐘に、俺は会えるのか⁉」
「落ち着いて聞いてね。残念だけど、今のままだと会うことはできない。天飼、あなたは今までに十五人も殺しているそうね。それだけの罪を負っていると、あなたは地獄に堕ちることになるわ。天界に行くことはできない」
「……そう、なのか。それも、そうだな……」
天飼は目に見えて落胆する。チエロはそれを良い兆候だと思った。今の天飼は正気に近い。冷静に話の内容を理解できているということだ。昨夜とは違う。一晩休んで、少しは落ち着いたのだろうか。
「あんたが地獄に堕ちれば、数百年間の刑期を過ごすことになるわ。その間に、茜鐘の魂は天界から離れてしまう。人間の魂は天界では、百年しか保つことができないの。百年経つと別の魂に変わってしまう」
「……なら、俺はもう茜鐘には会えないのか?」
天飼は悲惨な顔をする。チエロは咳払いをすると、昨日から解いていない三つ編みを払った。
「このままいけばね。でも、私に一つ策があるの」
「俺は何をすれば良い。何だってする。頼む。その策ってのを教えてくれ、チエロ」
チエロは目を閉じて深呼吸をすると、覚悟を決めて天飼の瞳を見つめた。
「あんた、今すぐ死ぬ覚悟はある?」
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