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緊急事態を知らせる警報がけたたましく鳴り響いている。
「くそっ、どうなっているんだっ」
パスカルは会議室を抜け、オペレーティングルームへの廊下を駆けていた。警報はパスカルの持ち場の計器に異常が発生していることを示している。さっきからポケットの端末も鳴りっぱなしだ。
(まさか、予想外の時刻に悪魔が発生したのか? それとも天飼が悪魔に転変したか……? いずれにせよ……)
良からぬ事態が起きていることは確実である。パスカルは疾走し、やっと自分の席に戻った。すぐさま下界の様子をチェックしようとし、カメラをオンにする。
そこで待ち受けていた光景は、
「な、なんだこれは! 何が起きている!」
下界の様子を映すモニターは砂嵐に乱れていた。魔力計は異常値を示しておりメーターが降り切れている。異常な魔力反応が通信を乱しているのだ。大悪魔に対して、チエロが魔力掃射を行ったときと同じ症状だった。
パスカルは慌ててマイクをオンにする。酷いノイズがした。通信が乱れているから当然である。パスカルはそれでも下界に向かって応答を計った。
「チエロ! どうした! 大丈夫なのか⁉ 何が起きている! 状況を報告しろ!」
パスカルはマイクに向かって叫ぶ。
モニターは砂嵐を映しているが、しだいに異常な濃度の魔力は霧散していき、砂嵐が晴れてくる。
やっと下界の様子が映し出される。その映像を見て、
「な、な、な——————」
パスカルは絶句した。
映し出されたのは天飼の部屋である。
部屋の中央では、血の池に倒れ伏す天飼の背中があった。
そして——————
天飼の傍には、血を滴らせる短剣を携えた、チエロが立っていた。
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