Ep4 紋章

「えいやあああああ!」

 魔物に渾身の一撃をぶちかましたのはいいものの、なんで無傷なんだよ。なんか怒らせちゃったし。

 「グルルルルルルル」

 なんか来てるよ。やばいやばい。

 魔物は僕を睨みつけ、腕を振り上げて⸺

 

 痛くも痒くもなかった

 

 防御も最強なのか。じゃあどうして攻撃だけゴミなんだよ。どうやって魔王を倒したんだよ。原作だと攻撃も最強だった‥はず。

お か し い

 この作品は主人公の人格を完全にコピーできるくらい読みまくってるはずなのに。戦闘に関する情報だけ頭の中からごっそり抜け落ちてやがる。どうするよ。俺も相手も死なないなら、永久に戦闘が終わらないじゃないか。

 そうだ。紋章はどうだろう。発現する条件だったり効果だったりは一切わからないけど、試して見る価値はあるかもしれない。

 「うおおおおおおおおお!」

 とりあえず、全身に力を込めて奇声をあげてみた。当然何も起こらない。そうだ!作品のタイトルは何だったっけ。そこになにかヒントが隠されてるかもしれない。えーっと。この世界の名前は‥‥と、ここまで考えて気がついた。


最終話時点で紋章って消失したんだっけ。


 唯一の助かる道が完全に否定されて、僕は絶望に打ちひしがれた。ほんとどうやって魔王を倒したんだよ。ってか眼の前の魔物をどうやって倒すんだよ。カッコつけて出ていっただけに今更宿に戻って「助けてクレメンス」なんてわけにはいかないもんなぁ。

 とりあえず、漫画の更に原作となったゲームみたいな感じで技を発動させてみよう。

 僕は心を落ち着けて剣を構え、深呼吸をして‥‥

 

「やあああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 おゝ、すごいすごい。体が勝手に動く。

 技を決めたあとの僕の眼の前には、真っ二つに切られて〇〇を〇しているかわいそうな魔物の姿があった。ひぇええ。


  つまりアレだ。この世界では某VRMMORPGのラノベみたいな感じで、ある程度まで技の動きをすると、あとは技のアシストとかはシステム的なものがやってくれるんだ。ありがてぇなぁ。でもこうなってくると、ますますステータスウインドウの必要性が高まって来るのになぁ。 

 魔物を倒して宿に戻ると、パーティーの仲間が出迎えてくれた。

 「おかえり。ソルト。」

 シュガーがねぎらってくっれた。まるで文の終わりに○じゃなくて♡がついたような口調で。気まずい。非常に気まずい。誰か助けてくれ。

 仲間にそれとなく言い訳して宿の部屋に戻ったあと、僕はまた悩んでいた。どうやって元の世界に帰ろうか。あるいはここに永住するのもありだよな。一応婚約者(愛情は一切ない)も一緒に魔王を倒した剣士もいるわけだし。

 冗談は置いといて、ガチでどうしようか、悩みである。

    

  ____ ∧∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ~' ____(,,゚Д゚)< 作者から一言

   UU    U U   \________

 

 文章上でははじめまして。音羽でございます。今回の話、というか前回の結婚のくだりを出してから、「余計な設定つけちまったなぁ」と悩んでいる今日このごろです。一応言っておきますが、本作において主人公ソルトの恋愛描写は一切いたしませんし、恋愛小説にするつもりもありません。

 深夜テンションで執筆した作品をちょっと読み返しただけで投稿しておりますので、このような意味わかんない設定が生まれたり、設定が付け足されたりすると思いますがご了承ください。あと、たまに意味わからん設定だと思われているものが伏線だったりするので気を付けてください。

 最後まで読んでくださりありがとうございます。

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