Ep2 目的
「あああああああああぁああああぁぁ!早くお家に帰りたいよぉ」
大通りでの凱旋が終わり、疲れ切った僕は、仲間との宴会もそこそこに、さっさと宿の自分の部屋に戻ってしまった。
どうやら肉体は僕が転生する前から引き継がれているものらしく、当然それは魔王との戦いでの疲れや傷も一緒に引き継がれていることを意味する。くっそ疲れたよ。なにこれ。体中のあちこちが痛いし。なんて愚痴もそこそこに、僕はこの世界のことを整理してみることにした。
僕がここに転生したきっかけは、ごろ寝スマホを堪能中に、スマホをうっかり顔面に落としたことだよね。だったら、その時スマホに表示されてた世界に転生したと考えるのが妥当だ。転生する直前、僕はスマホで漫画を読んでた。その漫画は確か、王道RPGゲームの二次創作的な漫画だった。
ってことは、この世界での僕の名前は「ソルト」だ。由来は知らん。ついでにいうとあの剣士の名前は「ビネガー」修道士の女の子は「シュガー」。ずいぶんとテキトーなネーミングセンスだなおい。
あらすじは、まぁ、よくあるRPG。勇者ソルトは仲間を集めて魔王を討伐する!それだけのシンプルな構成。まぁその中にも複雑な人物模様があったりするんだけど。
そういえば、僕のステータスはどんな感じなんだろ。どうやらこの世界だと、ステータスウィンドウみたいなものは存在しないらしいから、魔物の残党が出てきたときにでも試してみようかな。
っていうか、完全に忘れていたんだけど、確か勇者ソルトには特殊ななにかがあった気がする。何かの紋章とか、そういうやつ。なんの紋章だったっけ。それも含めてあとで試してみよ。
「あぁ。眠い」そう言って宿のベットに転がり込んだ僕は、その寝心地の良さにぶったまげた。
「おいおい。こんなところにタダで泊まっていいのかよ」
そう。なんかしらんけど宿の主人が、「お代はいらない」とかなんとか言ってた。まぁそりゃそうだ。宿の主人からしたら、僕たちは魔王を倒した英雄だから(現在その中身は、戦闘なんか一切したことがない一般人なんだけど)。
流石にそろそろ頭が回らなくなってきた。ねむい。
「えええええええええええ!?!?!?!?なんじゃこりゃああああ!?!?!?!」
翌朝。僕はベットの上で叫び声をあげていた。なんか昨日の傷が全部治ってる。体の疲れも一切なくなっている。最終回後の勇者のステータスやばすぎだろ。回復力どうなってんだよ。薬草とかもうオワコンじゃん。
この調子で行くと、戦闘力もとんでもないんだろうな。恐ろしい。非常に恐ろしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます