第48話 VS キャム①
「それで、異修羅会の奴がなんでこんな場所にいるんだ?お前らって、基本的に自分の縄張りから出ないだろ」
『僕にも分からない。だけど、ここの施設は危険だから破壊しないといけないって』
「へえ、俺と目的が一緒じゃねえか。流石は異修羅会といったところか。情報網がすげぇな」
ヴァンは自分の友と同程度の情報網がある異修羅会のことを素直に称賛する。
ヴァンは特に情報収集能力は高くないため、やはり他人に頼ることの方が多い。
そのため、いかに情報を集めるのかが大変なのかも知っている。
ヴァンは異修羅会のキャムとの会話を続ける。
「それで、お前さっきあの男のこと食ってたけど、主食は人間だったりするのか?」
『別にそんなことない。ただ人間も食べられるだけ。あの人、凄く悪い人だったら確実に殺すために食べた』
「はえー、普通に殺すよりも捕食した方が良いのか。ってことは、消化器官が特別だったりするのか?」
『うん、そうだよ。僕の胃は何でも溶かせるんだ』
「すげぇ!!めちゃくちゃ便利じゃねぇか!!異種族ってすげぇな!!」
ヴァンはとても楽しそうにキャムとの会話を楽しむ。
ヴァンは今サイボーグでも元は人間である。
人間の多くは異種族のことを生理的に無理なものも少なくない。
しかし、ヴァンは異種族だろうが、人間だろうが関係なく接する。
彼にとって見た目など些細な問題でしかないのだ。
そのためか、キャムも快くヴァンとの会話に応じている。
しかし、
「お前、さっきから俺に殺気を向けてるが、俺とやり合うってのか?」
キャムは快く会話に応じながらもヴァンへ強い殺気を向けていた。
キャムは明らかに、先ほど戦った管理者よりも強い。
それも圧倒的にだ。
彼と戦うことになると、この極秘拠点だけでなく、地上にも被害が出そうだ。
なので、なるべくは戦闘を避けるべきなのだろうが、戦闘狂であるヴァンはキャムとも戦いたいと考えている。
まあ、話してみた感じ、キャムはとても良い子なので、命までは奪わないであげようと考えているので、あくまでも手合わせ気分であるが。
それに対し、キャムは答える。
『お兄さん、凄く優しくて良い人だと思う。だけど、凄く血の匂いがする。血の匂いが濃すぎて外からでも分かるくらいに。それに、凄く危険な感じもする。だから、お兄さんをここで倒さないといけない』
キャムはそういうと、戦闘体勢へ移行する。
キャムはヴァンのことを優しくて良い人だと言った。
ヴァンはその話を聞いた時、鼻で笑ってしまう。
自分のことを良い人だなんて言う奴がまだ残っていたのだなと。
きっと、キャムは異種族らしく、とても優しい心の持ち主なのだろう。
それに、ここで異修羅会と敵対するのはあまりにも都合が悪い。
なので、ここはキャムのことを気絶させて異修羅会の本拠地にでも連れて帰ることにした。
キャムが本気で戦おうとしている中、ヴァンはあくまでも手加減かつ、相手を生け捕りにしようとしている。
普通ならば、あまりにも無謀な挑戦だ。
しかし、ヴァンにはそれを可能とする実力がある。
ヴァンはキャムとの戦闘のために、
「セクテムーーーー」
第二の封印を解除する。
封印解除と同時に、ヴァンの魔力出力は更に跳ね上がる。
それと同時に、ヴァンは全身を変形させていく。
キャムは全長6メートルもある巨大だ。
このまま戦うのは少し不利だろう。
それならば、自分のそれくらいのサイズになれば良い。
そうして、変形したヴァンはキャムと体格や全長が同程度のパワードアーマーに変形する。
パワードアーマーのヴァンは二対の腕が生えており、後方から生えている一対の腕の先は砲身になっている。
肩には背中側に収納されている二本の砲台が生えており、胸には巨大な砲門までついている。
背中には超巨大なロケットブースターが四対生えており、その推力は凄まじいものだろう。
他にもパワードアーマーには様々な武装が収納されており、戦況に合わせて武器を使い分けることができる。
これだけの武装があるというのに、この形態でも変形も可能であるため、突然新たな武器が生えてきたりもする。
キャムはヴァンは先ほどまで自分の三分の一ほどであったヴァンが変形により、自分と同程度まで大きくなったことに驚いている。
その姿は少し間抜けで可愛い。
パワードアーマーの中にいるヴァンは驚きを隠せないキャムに言う。
「キャムぅぅううう!!!お前の実力を俺に見せてくれえ!!!」
お前の実力を見せてみろと。
キャムとの戦闘が楽しみすぎてテンションがおかしなことになっているヴァンは声が上擦ってしまっている。
そうして、キャムとパワードアーマーに変形したヴァンとの戦いの幕が開けたのだった。
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