第41話 VS 管理者②
ヴァンはいきなり管理者がこちらへ投げてきたお札をチャクラムによって両断する。
あのお札は何かしらの魔道具であることは確かであるため、無視するのは危険だ。
そのため、ヴァンはチャクラムによってお札を叩き切ったのだ。
そして、ヴァンがお札を両断した瞬間、お札は大爆発を起こし、辺りにあったチャクラムを全て吹き飛ばす。
まさか、あの小さなお札が爆発の術式が刻まれた魔道具だとは考えていなかったヴァンは予想以上の爆発の威力に体勢を崩してしまう。
その隙を逃す管理者ではなく、大きく踏み込むと同時にヴァンとの距離が一気に縮まる。
まるで、瞬間移動してきたかのような速度の踏み込みにヴァンは対応が遅れてしまう。
その間に管理者は勢いを乗せた青龍刀を薙ぎ払う。
薙ぎ払われた青龍刀は回避行動が間に合わなかったヴァンの左腕を斬り飛ばした。
この勢いのまま管理者は再び青龍刀を薙ぎ払おうとしたが、流石のヴァンも対応してくる。
青龍刀が薙ぎ払われると同時に、剣に変形させておいた右手で青龍刀を弾き飛ばした。
青龍刀を弾き飛ばされた管理者はこのままでは体勢を崩してしまうため、わざと弾かれた青龍刀から手を離す。
青龍刀から手を離した管理者は服の中へ手を入れ、再び爆発札を撮ろうとした時、ヴァンはなくなったはずの左手を伸ばす。
先ほど斬り飛ばしたはずの左手があることに普通ならば、驚いて動きに遅れが生じてしまうが、管理者は完全に対応しており、伸びてきた左手を回避する。
それと同時に、爆破札をヴァンの方へ投げると、距離を取るために後方へ下がる。
ヴァンは距離を取ろうとする管理者を追いかけようとするが、先に爆発札が炸裂し、管理者とは反対方向に吹き飛ばされてしまう。
吹き飛ばされたヴァンは近くにあった壁をぶち破り、そのまま反対側の壁に激突する。
壁に激突したヴァンはすぐに体勢を立て直すが、右腕は爆発に加え、壁を突き破る時の衝撃で関節がイカれており、まともに動かすことができなくなっていた。
体の方もボロボロであり、所々破損の影響で装甲が剥がれていたり、抉れていたりしている。
しかし、ヴァンは全身がサイボーグであり、自由に体を変形できることから、これだけダメージを受けても体は一瞬で修復される。
そして、体の修復が終わった頃にふと、周りを見てみると、ここは何かの実験室らしく、周りには本やら実験器具などが散乱している。
まあ、散乱している理由はヴァンがこの部屋の中に壁を突き破って入ってきたからなのだが。
実験室の中にはグリモワールの構成員も何人かおり、いきなり現れたヴァンに驚いた様子で固まっている。
いきなり部外者であるヴァンが彼を突き破って出てきたのだ。
驚いてしまうのも無理はない。
そうして、驚いている構成員たちを見ていたヴァンはとある作戦を思いつく。
その作戦を実行する前段階として、驚いて固まってしまっている構成員たちの心臓をいつの間にか抜いたリボルバーで撃ち抜く。
所詮、こいつらはグリモワールの構成員だ。
ここで死のうが生き残ろうが結局のところ、極秘拠点の爆破に巻き込まれて死ぬのだ。
少し死期が早まった程度ならそこまで問題ではないだろう。
構成員を殺したヴァンは管理者に一矢報いるための作戦を実行に移した。
一方、管理者はヴァンが壁を突き破って行ったことを確認しており、ヴァンが戻ってくるのを待っていた。
自分から攻めても良いのだが、万が一の時に備えて様子見をすることにした。
ヴァンならば、あの程度の破損では一瞬で修復されてしまうため、今頃あの部屋の中で自分を迎え撃つための準備をしている可能性が高い。
それならば、こちらから出向かずに相手の方から来てもらった方が安全だ。
もしも、何かしらの策があったとしてもこの廊下は広いため、対策のしようがある。
一方、部屋の中は狭いため、その分危険性は高まる。
それらの理由により、管理者は自分から攻めないという選択肢を選んだのだ。
そうして、管理者がヴァンのことを待っていると、突き破った壁の穴からヴァンが出てくる。
部屋から出てきたヴァンの両手には部屋の中で実験していたグリモワールの構成員の死体を引きずっており、死体の胸には穴が開き、白目を剥いている。
予想外の登場の仕方に管理者は眉を顰めるが、部下が殺されたことには特に何も思っていない。
それもそのはずである。
この管理者は部下のことをただの駒だとしか思っておらず、今まで幾度となく部下たちを切り捨ててきた。
だから、部下の一人二人が死んだところで問題ではないのだ。
管理者が眉を顰めたのはヴァンが一体何を考えているのか分からなかったからだ。
彼は部下の死体を使って一体何をしようとしている?
管理者はヴァンの予想外の行動が理解できずに困惑している。
生きたまま連れてきたならば、人質として連れてきたのだと分かるのだが、ヴァンが引きずっているのは死体だ。
死体を見せたところで、管理者が何とも思わないのはヴァンも承知しているだろう。
だからこそ、彼の予想外の行動に眉を顰めているのだ。
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