第40話 VS 管理者①

 ヴァンは先ほどのお返しと言わんばかりに不意打ちでレーザーを放つ。


 管理者は素早い動きでヴァンの放つレーザーを回避する。


 レーザーを回避した管理者は低い姿勢のままヴァンとの距離を一気に詰め、青龍刀を薙ぎ払う。


 ヴァンは青龍刀を跳ぶことで回避する。


 しかし、それは管理者の狙いであり、空中へ跳んだヴァンへ向けてもう一つの青龍刀を突き出す。


 普通ならば、跳んだ時点で身動きが取れずにやられてしまっていただろう。


 だが、相手が悪かった。


 ヴァンは足のジェットを勢いよく噴出することで、さらに高く飛び上がり、突き出された青龍刀を回避する。


 それと同時に、砲身の照準を管理者に合わせ、レーザーを放つ。


 管理者は常人では出来ない速すぎる動きで無理矢理体を捻り、レーザーを回避する。


 そして、管理者は体を捻った勢いでそのまま回転し、勢い良く青龍刀をヴァンへ向けて投擲する。


 投擲された青龍刀は銃弾と見間違うほどの速度であったが、ヴァンにとっては余裕で見切れる速度であり、投擲された青龍刀をキャッチする。


 青龍刀をキャッチしたヴァンはそのまま管理者に向けて投げ返す。


 ヴァンが投げた青龍刀は管理者が投げた時よりも速く、普通の人間では見切れないほどの速度である。


 しかし、相手は腐ってもグリモワールの極秘拠点の管理を任されている者だ。


 この程度の速度など見切るのも朝飯前だ。


 管理者はヴァンに投げ返された青龍刀を後方へ飛ぶことで回避する。


 管理者を捉えられなかった青龍刀はそのまま勢い良く地面に突き刺さる。


 青龍刀は地面に深く刺さっており、そう簡単には抜くことができない状況だ。


 これで、相手の武器を一つ封じることができたとヴァンは考えた。


 その瞬間、青龍刀は一人でに動き出し、地面から勢い良く飛び出すと、そのまま管理者の右手に戻ってくる。


 どうやら、あの青龍刀には持ち主の元に自動で戻ってくる機能がついているようだ。


 青龍刀を無力化するには剣本体を破壊する必要がありそうだ。


 だが、あの青龍刀は魔剣であるため、見た目以上に耐久性が高いため、剣を破壊するのは現実的ではない。


 それならば、本体を叩くのが正解だろう。


 ヴァンはそう判断すると同時に左手を砲口が少し横長くなっている砲身に変形させる。


 そして、ヴァンは管理者へ向けて何かを連射する。


 それはフリスビーのような大きさの円盤であり、それはチャクラムと呼ばれる投擲武器と酷似している。


 発射されたチャクラムたちは高速回転しながら管理者へ向けて飛んでいく。


 管理者は飛んできたチャクラムを青龍刀で弾き飛ばす。


 次の瞬間、壁に当たったチャクラムが反射し、予測不能な軌道で再び管理者へ襲いかかってきた。


 管理者は青龍刀でチャクラムを弾くのは危険だと判断し、魔術障壁でチャクラムを防ぐことにする。


 そして、管理者が放たれるチャクラムと反射して不規則な軌道で飛んでくるチャクラムを防いでいると、いきなり前方から極太のレーザーが飛んでくる。


 管理者は咄嗟に正面の魔術障壁の出力を上げることで、レーザーを防ぐことに成功する。


 レーザーを防いだ管理者がヴァンへ視線を戻すと、両腕をチャクラムガンのまま上半身を巨大な砲台へと変形させている。 


 あまりにも器用な変形を見た管理者は苦戦を強いられることを予感する。


 なるべく、この極秘拠点を破壊せずにヴァンを仕留めようと考えていたが、そちらは難しそうだ。


 それならば、極秘拠点の損害を無視してでもヴァンを仕留めに行った方がいい。


 ヴァンをここで取り逃すのはあまりにも危険すぎる。


 ここで確実に仕留めにいかなければ、後々グリモワールに多大な被害が出てしまう。


 まあ、既にグリモワールはヴァンによって多大な損害が出ているのだがな。


 管理者がそう判断すると、管理者は服の中から何かを取り出す。


 それはお札と呼ばれるものとよく似た長方形の紙である。


 それを管理者はヴァンへ向けて投げる。


 紙とは思えないほどの速度で飛んでいくお札であるが、それでも速度自体は銃弾よりも圧倒的に遅い。


 そのため、お札はヴァンが放つチャクラムによって両断されてしまう。


 それが管理者の狙いだとは知らずに。

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