第12話 賞金首ドットコム
そうして、MOTHERESで買い物を終えた二人は他の日用品を買いに行くべく、大通りを歩いていた。
大通りはあちこちが破壊されており、先ほどのヴァンたちの戦いでメチャクチャになっている。
そして、あちこちに死体が転がっており、ヴァンはその死体の写真を撮っては誰かとやりとりをしていた。
その様子を不思議に思った楓はヴァンに質問する。
「さっきから死体の写真を撮っているみたいだが、一体何をしているんだ?」
「ああ、これか?これはな、賞金首の始末達成の報告の作業をしてるんだ。あいつら、ちゃんと死体の写真も送らないと金払わねぇからな」
「一体どういうことだ…?」
楓はヴァンに何をしているのか質問してみたが、その内容が理解できずに余計に混乱した。
そんな楓にヴァンが一から説明する。
この街では賞金首というものがある。
これはその名の通り賞金首として登録された者を殺害または捕縛することで金が貰えるというものだ。
そして、その賞金首たちは賞金首ドットコムというサイトで登録または報告することになっている。
賞金首と言われると犯罪者などが登録されていると思われがちだが、この賞金首ドットコムは違う。
この賞金首ドットコムでは金さえ払えれば、相手がどんな善人であろうと賞金首に設定することができる。
いわゆる暗殺依頼の求人サイトのようなものだ。
もちろん、ヴァンもこの賞金首に設定されており、それも超高額である。
このようなサイトが当たり前のように運営されているのはこのサーカスの街では公的な治安維持組織が活動していないためだ。
他にも似たようなサイトはあるが、この賞金首ドットコムが一番大きく、信頼性の高いサイトであるため、依頼人も請け負う業者たちもこのサイトを利用している。
そのような世紀末サイトがあることに楓は驚きを隠せない。
自分のいた場所ではそんなもの存在していなかった。
だがら、あまりにも治安の悪いこの街の常識に驚かずにはいられなかった。
そして、ヴァンが写真を撮っていたのは顔写真による賞金首の検索をするためと殺害証拠とするためだ。
家に帰ってから諸々の作業をしようとヴァンは考えていたのだが、楓にどのようにするのかを説明するためにも一件だけ実際にやってみることにする。
まずは賞金首ドットコムの写真検索欄にとぶ。
そして、先ほどリボルバーで風穴を開けて殺した人物の顔写真を貼り付ける。
そうすると、画面に検索中という文字とロード中のマークが出てくる。
しばらく待っていると、検索結果が出てくる。
どうやら、この者の名はフジシマというらしい。
賞金首として掛けられた懸賞金は450万ミラン。
思ったよりも高額だ。
そして、このフジシマは七人もの依頼人から殺害の依頼が出されているみたいだ。
この賞金首ドットコムで依頼を出そうとした時、既に賞金首として登録されている場合、追加で報酬を加算することが出来る。
例えば、依頼を出そうとした時、その者に100万ミランの懸賞金が掛けられているとしよう。
そして、自分はその者に50万ミランの懸賞金をかけようと思っていた。
この場合、追加で50万ミランを依頼に追加し、この者の懸賞金を150万ミランに引き上げることが出来る。
このフジシマには合計七人の依頼人が存在しており、彼らがそれぞれかけた依頼料の合計が450万ミランであったというわけだ。
この賞金首ドットコムでは相手がどのような人物なのか、何をしでかしたのかも依頼人は分かっている範囲で書き込める。
このフジシマの詳細欄を見てみると、フジシマに関する情報が書き記されていた。
どうやら、フジシマは幼女誘拐の常習犯らしく、依頼人の全てがフジシマに自分の娘を誘拐されたようだ。
このフジシマという男は極度のロリコンとリョナであり、誘拐した少女たちを強姦の後、拷問を行うという残虐非道のど畜生である。
そして、拷問に耐えられずに死んだ少女たちは遺体をバラバラにされ、記念として体の皮を剥いで飾るという猟奇的な行為もしているそうだ。
この情報を見ていた楓はあまりにも酷い行為に気分が悪くなり、目を逸らしてしまう。
他にも色々と残虐行為の情報が書き込まれていたが、楓の精神がもたなそうなので、詳細欄は閉じる。
とりあえず、フジシマがクソ野郎であることが分かったところで、完了手続きに移行する。
完了報告をタップすると、写真をアップロードする場所が出てくるので、先ほど撮ったフジシマの写真を選択する。
そして、いつ何処でフジシマを殺したのかを備考欄に記載する。
備考欄に殺害の時間帯と場所を記入し終えると、報告完了をタップする。
そうすると、報告完了のメールが送られる。
メールが送られた後は賞金首ドットコムが事実かどうか精査する。
そして、事実だと認められた場合は懸賞金が口座に振り込まれる。
後は依頼人側にも完了の通知が送られる。
これが賞金首ドットコムで賞金首を殺した後にする一連の流れである。
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