第9話 VS エンジ&ミーヤ
相手がグリモワールのエンジとミーヤだと分かったヴァンは予想以上の大物が釣れて興奮する。
彼らはグリモワールの中でも最近話題の二人であり、新進気鋭の新人のようだ。
中々面白い相手を釣れたヴァンは空を飛びながら二人へ視線を向ける。
彼らは息のあったコンビネーションが最大の武器であり、二体一で戦うことになるヴァンは不利だと言えるだろう。
だが、二体一の戦いなど数えきれないほどこなしてきた。
それに、一対一では思ったよりも味気なかったため、これからが本番である二人と戦えることに喜びを感じていた。
そうして、ヴァンが強敵に興奮を抑えられずにいると、二人が動き出す。
エンジとミーヤは同時に大量の魔法陣を展開し、火球と氷柱をヴァンへ向けて放つ。
火球と氷柱の飽和攻撃は圧倒的な物量であり、回避することは難しい。
だから、ヴァンは近くのビルにしがみつくと、全身を変形させ、体を巨大な盾にする。
そして、巨大な盾の前に何重にも重ねた魔術障壁を展開し、火球と氷柱を防ぐ。
火球と氷柱はヴァンの展開する盾にぶつかるたびに水蒸気爆発を起こし、あたり一体を吹き飛ばす。
エンジとミーヤはこのまま押し切ると言わんばかりに火球と氷柱の物量を増やし、ヴァンが爆発の煙で見えなくなるまで撃ち続ける。
そうして、一分間にも及ぶ飽和攻撃を仕掛けた後、二人は一旦、攻撃の手を止めた。
それは相手の生死を確認するためだ。
これだけの攻撃を一分間も喰らったのだ。
きっと、あのヴァンと言えど死んでいるだろう。
二人はそのように慢心していた。
だが、二人の予想は見事に裏切られる。
煙が消える前にいきなり二人へ向けて大量のレーザーが放たれる。
それは連射されたレーザーであり、二人の飽和攻撃よりも密度の高い攻撃だった。
エンジとミーヤは急いで魔術障壁を展開し、攻撃を防ぐが、慢心していたせいでエンジは左肩と右太腿を。
ミーヤは右肩と脇腹をレーザーによって抉られる。
二人は痛みに顔を歪めるが、まだ軽症であるため、戦闘続行の支障はない。
二人はレーザーの乱れ撃ちを魔術障壁で防いでいると、ヴァンを包み込んでいた煙が晴れる。
煙の中からは無数の砲台が生えた砲台が現れ、それがヴァンが変形したものだと二人はすぐに気付いた。
砲台へと変形したヴァンは二人を超える物量の飽和攻撃を仕掛け続けたのだが、彼らの防御は思ったよりも固く、この街では崩せそうになかった。
そのため、ヴァンは砲台の中から勢い良く飛び出すと、二人との距離を一気に詰めた。
いきなり距離を詰めてきたため、二人の反応は遅れてしまう。
ヴァンはその隙を逃す訳がない。
両腕を砲台に変形させると、二人に向けて極太レーザーを放つ。
エンジとミーヤは腐ってもグリモワールの戦闘要員だ。
この程度の攻撃で仕留め切ることは難しい。
案の定、二人は体を掠めたものの致命傷とは程遠く、二人は既にヴァンへの攻撃に移っていた。
エンジとミーヤはヴァンを挟むような形で同時に魔術を放つ。
ヴァンはエンジとミーヤの同時攻撃を魔術障壁を展開することで防ぐ。
そして、ヴァンは反撃として両腕のレーザー砲をそれぞれへ向けて放つ。
二人はヴァンが放ったレーザーを魔術障壁を展開することで防ぐ。
その隙にヴァンは再び空へと飛び上がる。
空へと飛び上がったヴァンは両腕の変形を戻すと、両手を組むような形で構える。
それと同時に、ヴァンの上半身は変形していき、上半身が超巨大な砲台へと変形する。
巨大な砲台へと変形したヴァンはそのまま二人へ向けて超極太レーザーを放つ。
その威力は凄まじく、レーザーの周りが歪んで見えるほどだ。
エンジとミーヤは二人の力を合わせて魔術障壁を展開するが、レーザーの勢いは止まらなかった。
二人が展開する魔術障壁を紙のように最も容易く破壊していった。
そして、このままでは二人ともやられると判断したエンジはミーヤのことを後方へ吹き飛ばした。
いきなりの出来事にミーヤは思考が追いつかず、押されるがまま後方へ飛んでいった。
それと同時に、最後の魔術障壁が破壊され、エンジはレーザーに飲み込まれてしまった。
レーザーに飲み込まれたエンジはミーヤの目の前で一瞬にして蒸発した。
塵一つ残らずに。
あまりの出来事にミーヤの脳が真っ白になっていると、上半身の変形を解いたヴァンが空を飛びながら呟く。
「まずは一人目だ」
エンジを仕留めたと。
それを聞いたミーヤはすぐに立ち直り、戦闘態勢を取り直す。
その姿を空から見ていたヴァンは満足そうにしている。
この程度で心が折れて戦えなくなってしまうのは興醒めだ。
だから、ヴァンはミーヤがすぐに立ち直ったことを素直に喜んだ。
これで、まだ戦いは続けられると。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます