第4話 少女と契約

 少女は勇気を振り絞って自分を報酬として差し出すと言ったのにヴァンからの反応はなかった。


 ヴァンはただリボルバーを構えたまま少女のことを睨みつけている。


 少女は後一押しが足りないと思い、その一押しが何かと考える。


 一方、ヴァンはこの少女についてどうするのか迷っていた。


 このまま政府からの依頼通りにこの少女を殺すことが一番手っ取り早い。


 しかし、それでは面白みに欠ける。


 それに、この少女は何か大きな秘密がありそうだ。


 きっと、その秘密が政府やグリモワールの連中が追いかけている理由に間違いなく繋がるだろう。


 ヴァンはその秘密が猛烈に気になった。


 そして、その秘密を握れれば、政府やグリモワールの連中に強く出ることができ、色々と便利そうでもある。


 他にも少女の味方になると、自然と政府やグリモワールの連中と戦うことになる。


 自分を仕留めにくるとなると、相当な手だれが来ることが予想される。


 それはそれで面白い戦いが出来て良さそうだとヴァンは思った。


 その分、少女の味方をすると大きなデメリットもついてくる。


 そうして、ヴァンが少女の扱いについて悩んでいると、少女が何か口に出そうとするが、それを止める。


 そして、少女は恥ずかしそうに下を向く。


 ヴァンが一体この少女は何を考えているんだと不思議に思っていると、


「も、もちろん、お前が望むのであれば、そ、その、、、せ、性行為だって!!やっても構わないぞ、、、」


 少女が恥ずかしそうに顔を真っ赤に染め上げながら条件の詳細を伝えてきた。


 ヴァンは別にそんなつもりもなかったので、少女の発言が一瞬理解できずにフリーズしてしまう。


 その様子をそれだけでは満足できないのだと少女は勘違いしてしまったのだろう。


 少女は先ほどよりもさらに顔を真っ赤にし、何かを呟こうとした時、ヴァンの思考は今の状況に追いつく。


 そして、ヴァンは少女に答える。


「俺は別にそんなことは求めてねぇよ。俺はペドじゃねぇぞ?子供になんか興味ねぇよ」


 自分は子供には興味もなければ、そんなことは求めていないと。


 少女はヴァンからの答えを聞いたことで、自分が早とちりしていたと気づき、更に恥ずかしそうにする。


 そして、少女は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらも怒った表情で答える。


「誰が子供だ!!私はこう見えて十八歳の立派な大人だぞ!!ただ少し身長が低いだけだ!!」


 どうやら、少女は子供扱いされたことに怒っているらしい。


 少女は自分は身長が低いだけで子供ではないと答える。


 確かに、少女の身長は150センチメートルあるかないか程度しかなく、2メートル近くあるヴァンからは子供のように見えても仕方ない。


 いや、身長が2メートルなくても150センチメートルは十分小さい方だ。


 それに、この少女は十八歳というつい最近大人になったばかりの年齢だ。


 そのため、子供というのもあながち間違っていないのかも知れない。


 それに対し、ヴァンは、


「別にお前が子供かどうかなんて関係ねぇ。そもそも大人だったとしても俺は別にそんなことは求めねぇよ。俺はサイボーグだぞ?そういう機能はついてねぇんだ」


 自分はサイボーグであるため、生殖機構はすでに捨てていることを伝えた。


 ヴァンの体のほとんどが機械であり、彼の生身の部分といえば、脳や舌などの一部の器官だけである。


 割合にすると、ヴァンの体の九割五分以上は機械によって構成されているのだ。


 そして、体のサイボーグ化の際にヴァンは邪魔だからという理由で生殖機能を捨て去った。


 彼のサイボーグ化を担当した科学者は、


『君のような優秀な人物の遺伝子を捨てるなんて勿体無い!!』


 と何とか説得を試みてきたのだが、ヴァンはしっかりと断っている。


 そうして、自分がサイボーグであることを伝えると、


「そ、そうだったのか、、、」


 ヴァンがサイボーグだったのが予想外だったのだろう。


 自分が命の危機に瀕している状況を忘れて、とても驚いているようであった。


 そうして、勘違いから来るやり取りを行なった後、ヴァンは少女の扱いについて結論を出しす。


 そして、ヴァンは結果を少女に告げる。


「良いぜ?その依頼受けてやろうじゃねぇか」


 依頼を引き受けると。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る