助手席
野名紅里
助手席
火事を見にゆく助手席に乗りにけり
姿見に二人映れば冬の海
鮟鱇や改装中の美術館
楪のあたりで地図をまはしけり
双六の様子伺つてから出る
でたらめに熊語通訳してくれし
心臓といふ狼のくらがりよ
バレンタインデー泣き真似の泣けてくる
肩いつも春コートより小さくて
土筆つてどこかどうにかなる途中
反転の写真蛙の目借時
鶯は正解もなく鳴いてゐる
蕗を煮るあひだの安全なこころ
航跡の失せゆく朝に李生る
振つて消す燐寸泰山木の花
夏帽子もらふ名前をもらふやうに
月にかかる雲まなぶたの厚さして
手花火をべりべり台紙からはがす
捩れつつ林檎の皮の落ちつきぬ
どんぐりをどれも同じく愛せれば
助手席 野名紅里 @nonaakari0128
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます