第34話 浄界のリナ、令和の日本に行く【令和八年&浄界八年】
私――
『正式名称は【
PROJECT.Uの正式名称は――
『あの……まず聞きたいんだけど……昭和って何?」
私はヘッドセットを通して、
『令和の世界では……令和の前の元号は平成で、その前は昭和だった』
平成……昭和……初めて聞く元号だ。何かの冗談みたいだ。
『お前たちの世界では
『何かのテスト?』
私は少しイライラして言った。
『
『
『第二次世界大戦があったって習った』
私が答えると、
『こちらの昭和の世界では、第二次世界大戦で日本は負けている』
『えっ?』
私は
日本とアメリカの戦争は「引き分け」たのだ。
『お前たちの世界では戦後、日本はアメリカの
『日本軍は自衛隊と名を変え、日本を
『そ、そう習ったよ。多分』
『しかし、
そして
『同時に、人々は新興宗教、
『そ、それがPROJECT.Uと何か関係があるの?』
『大ありだ。すべての出来事はPROJECT.U――つまり
◇ ◇ ◇
ヘリコプターはどんどん北西に進み、やがて大きな島が見えてきた。
私はスマートフォンを見る。
日本の部分に赤い点が点滅している。
私が知っている日本の形だ。北海道もあるし、本州、四国、九州、沖縄もある。
だが――。
『私たちは本当は南東の、四角い大陸に住んでいたってこと? 令和の日本は、その北西にある――これから行くこの日本ってこと?』
『そうだ。それが真実だ。お前たちは北海道や本州のある日本に住んでいると思い込まされていた。だが本当はその南東にある、太平洋上の真四角の大陸に住んでいたのだ』
ヘリコプターは降下し、西池袋の警察署の隣にあるヘリポートに降り立った。
◇ ◇ ◇
私と
「う、うわあああ……」
空き地から外に出ると、令和の街並みが驚くほど浄界の日本と違うのに驚かされた。
たくさんの
それからコンビニという小さめの店がそこかしこにある。
マクドナルドという食べ物屋もあった。
令和のリナの夢を見たとき、令和の日本には大きな建物と
そんなことを考えていると……。
『日本政府は化け物の正体を教えろっ!』
『いきなり
それを見た
「令和の日本には、ゼッコン様が最近出現するようになってな。日本人は
――
だが、いままで平和だった日常が壊され、文句を言いたくなる気持ちはよく分かる。
「おい、美味いコーヒーだ。飲んでみろ」
「スターバックスという店のキャラメルマキアートというコーヒーだ。俺も好きでな」
えっ?
私はそれを聞いたとき、胸に温かいものを感じた。
こ、このコーヒーが、夢の中で令和のリナが言った、スターバックスのキャラメルマキアート……。
飲んでみると――匂いがよくて甘くて美味しいコーヒーだった。
「美味しい」
私が言うと、
やがて池袋の東口に出ると、巨大な神社に案内された。
「ここが『賢者大神殿』だ。ここに令和の
「入るか?」
何を言ってるんだろう? 私は令和のリナに会いにここに来たんだ。
行くに決まっている。
だけど私は心臓がドキドキした。
なぜか不安だった。
なぜだろう?
でも、行かなくちゃ、令和のリナに会わなくちゃ――。
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