第33話 PROJECT.U=現し世計画【浄界八年】
この巣鴨プリズン
耳に
入り口のほうで
フェンスには大穴が開き、さっきの
「き、来たっ! あいつらだ!」
山内レイジが声を上げた。
「ダイナマイトか何かの爆発物でフェンスを破壊したな」
「
整備員の一人が声を上げた。だがその時――!
「
山内レイジが私の前に立った。
そのときちょうど、
「あっ、ぐう」
えっ……!
私が気づくと、山内レイジが私の前でひざまづいていた。
地面には血が広がっている……。彼の
ま、まさか!
「我々、
また整備員たちが倉庫から出てきた。
計八名の整備員が山内レイジを守るように彼を囲んだ。
ライアン氏が拳を鳴らしながらズンズン近づいてくる。
と、
山内レイジは私を助けようとしてくれたの?
「いやあああっ!」
私が叫ぶと
「
「ダメ! 山内君はどうなるの? 彼は私を助けてくれたの!」
私が叫んだとき、山内レイジはかすれた声で怒鳴った。
「
「だって! 君、血が出てるよ!」
「だ、大丈夫だ!
山内レイジがまた叫ぶ。
すると
「安全ベルトをしろ! ヘッドセットも装着して!」
すぐにヘリコプターのローターが回り出した。
また
今度は整備員たちが
すると整備員によって、ヘリコプターの扉が閉められた。
すぐにヘリコプターはホバリングして地上から浮き出した。
「山内くーん!」
私は……血だらけの山内レイジを地上に残して飛び立ってしまった。
『見ろ』
ヘッドセットのヘッドホンから、
整備員が発砲して、
『
『大丈夫、じゃないよ……』
私は、どんどん地上を離れスピードを上げるヘリコプターに体をあずけながら言った。
ヘリコプターが右
ヘリコプターは高く上がり、地上の街並みがどんどん小さくなる。
怖いが、そんなことを言っている場合じゃない。
『山内君が死んじゃう』
私はそう言って
でも、山内レイジは私を助けようとして私の前に出てくれた。
彼が
――そのとき、ヘッドホンにノイズが入ってきた。
『お、俺だ。山内だ』
『や、山内君?』
山内レイジの声がしたので、私は泣きそうになった。
『うう……い、今、地上から話している。あ、足は
『さ、さっきは助けてくれてありがとう』
『
そう言って、彼の言葉は消えていった。
◇ ◇ ◇
私は
『しょうがない』
『……何で……人間同士で争っているの?』
私は腹を立てたように言うと、
『それは大人の責任だ。色々と問題が多くてな』
『世界の秘密に関係あるの?』
『ある』
彼は私にあの板のような機械――スマートフォンを手渡してきた。
『スマートフォンの地図を見ろ。すでに表示されている。スマートフォンを横に持って見てみるんだ』
私はイライラして、そのスマートフォンなる機械を放り捨てたかった。
しかし、ヘリコプター内でそんなことをしてもしょうがないし危険なだけだ。
スマートフォンを見ると、画面に世界地図が表示されていた。
中華人民共和国、ソ連、韓国の南に、私たちの国、日本がある。
いつも通りの北海道、本州、四国、九州、沖縄が表示されている。
西にはインドやアフリカ、東にはアメリカ大陸がある。
「あれっ?」
私は気付いた。
日本の右下――南東に見覚えのない正方形の大陸がある。オーストラリアと同じくらい大きい。
なんだ……この地図?
『日本の南東に真四角の大陸があるよ。オーストラリアの北、ハワイの西……つまり太平洋上に……』
その正方形の大陸の上が赤く
ま、まさか、現在位置?
『その太平洋上の四角い大陸を、俺たちは【非公認地域】と呼んでいる』
『つまり、その大陸にもう一つの日本……年号が【
『そ、そんな!
『
私は自分の手の甲を見た。
私には見えないけど、
『正式名称は【
彼らって誰? 昭和って何?
でも、謎の一つが分かった。
PROJECT.Uの正式名称は――
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