第22話 卑弥呼鬼道士官学校へ入学!【令和八年】
「あなたはこれから、『
ウォンダさんはそう言い、私を食堂レストランの外に連れ出した。
「
ウォンダさんはそう続けた。
そのとき――。
「うおいっ! あたしも学校見学しろって言われてここに来たぞ!」
アリサが案内人の若い女性賢者と一緒に、どかどかと歩いてきた。
「アリサ、今までどうしてたの?」
私が気になって聞くと、アリサは伸びをしながら答えた。
「体の検査とか何やらで、
「で、ではウォンダ先輩、よろしくお願いします」
アリサの付き
私はウォンダさんに聞いた。
「え、えーっと。私、そんな学校に入るなんて思いもしてないんだけど」
「あたしは学校ってのが大嫌いなんだ! 故郷の村で学校に行ってたけどさぼってばっかりだったぜ」
アリサも声を上げたとき、ウォンダさんは冷静に言った。
「
「授業料とか、入学費とか……その他いろいろお金がかかるんじゃ……」
私は現実的なことを聞いたが、ウォンダさんは淡々と答えた。
「全部無料。日本政府がお金を出すから」
「デン子叔母さんに許可を取らないと……」
「許可はとっています。あなたの叔母様には、株券をプレゼントとして差し上げました。私はあなたの叔母様とはケンカしたけど、一応受け取ってくれたわ。彼女、目は笑ってなかったけどね」
は、はあ……。
ウォンダさんは続けて言った。
「とにかく校舎を案内するから中を見学して。きっと気に入るわ」
「はああ? 学校なんて気に入るわけねーだろ。勉強なんて大嫌いだね」
「いいから来なさいっ!」
私はアリサの腕を引っ張っているウォンダさんに聞いた。
「ところで、
「
ウォンダさんは私が
「その賢者って何?」
「歴史上の
その奥には門があり、白いローブの
神社の
「さあどうぞ」
「ああっ」
私は声を上げた。
目の前には真っ白いギリシャ神殿のような建物が建っていた。
入り口には三角の屋根があり、十本以上の太い柱で支えられている。それがギリシャ神殿のように見える。
後方にはガラス張りの美しく大きい、美術館のような建物が建っている。
「さあ、入りましょう。ここが
するとそのとき――。
「おい待て!」
聞き覚えのある声が、周囲に
後ろから緑色のローブを羽織った中年男性が、ツカツカと彼の仲間とともにやってきた。
「あの野郎……ジェスターってヤツじゃねえか」
アリサはニヤリと笑いながら彼に詰め寄った。
「よぉ、金の管理人よぉ。あたしらジャスイガラキって敵の化け物倒しちまったけど、これでも金の
「ガキども……。あ、あの程度で調子に乗るなよ。ゼッコン様と戦っているのはお前たちだけじゃない。世界各国でもゼッコン様と戦っている子どもがたくさんいるぞ!」
ジェスター氏は苦虫を
他にもゼッコン様と戦っている子どもたちがいる――。
さっきウォンダさんが言ってたことは本当なのか……。
「ま、まあ、私は子どもに戦わせるなんて大反対だがな! 戦争ごっこじゃあるまいし。金の
ジェスター氏はそう言い、気付いたようにウォンダさんに向き直った。
「うん? も、もしかして、この二人を
ジェスター氏は眉をひそめながら、ウォンダさんに聞いた。
「まだ決まっていませんが、私はそう願っています」
ウォンダさんが胸を張って言うと、ジェスター氏は舌打ちをした。
「まったく、賢者も政府もお遊びが過ぎますな! 子どもに武器を与えて、戦争の真似事とは!」
「待って! あなたはこの子たちが、決死の覚悟でジャスイガラキに
おや? ウォンダさんが声を
「そ、それは……見ましたが?」
ジェスター氏は一歩たじろいだ。
ウォンダさんはいつになく怒っているように見えた。
「あなたに化け物と戦う勇気がありますか? 命がけで戦ったこの子たちを
「あ、ぐぐ……」
ジェスター氏はしかめっ
「
ジェスター氏はそうブツブツ言い、私とアリサを
アリサはクスクス笑った。
「けっ、あの野郎、いい気味だぜ。負け犬が」
「ちょっとスッキリしたね」
私もアリサに少し同意して笑った。
おや? 校舎の周辺をよく見ると、私と同じくらいの年齢の男の子や女の子たちが歩いている。
皆、私服を着ているけど、同じカバンを持っている。きっとここの生徒なんだろう。
ほ、本当に私、この学校に入学することになるんだろうか。
◇ ◇ ◇
「わあ……」
「おお……」
私とアリサは同時に声を上げた。
入り口に入ると、すぐ目の前が開けた。
中に入るとそこには玄関前の広いロビーがあった。
中央には大きな木が生えており、周囲にはドーナツ型の池がある。
壁際にはオープンカフェのような机や椅子があり、生徒たちが座って何か話をしていた。
「あの子たちはこの
ウォンダさんはにこやかに言った。
「ゼッコン様など
「こ、この学校には何人いるの?」
「そうねえ、そんなに多くないけど、五百人くらいかしら」
私の質問にウォンダさんは答えた。
「実際に戦闘に出る生徒を育成する『戦闘科』は約百名。人の怪我を治す『
「え? 私が……戦闘……科?」
私がつぶやくと、ウォンダさんはうなずいた。
「さあ、『エントランスホール』に行ってここの生徒と話をしてみましょう」
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