第19話 真実の浄界世界【浄界八年】
「その話、俺にも
「これは、スマートフォンというものさ」
刑事は言った。私たちには見たことも聞いたこともない
彼は板のような機械――スマートフォンをもう一つカバンから取り出し、それぞれ私と山内レイジの前に置いた。
私がそれを手に取ろうとしたとき――。
「
山内レイジはいきなり叫んだ。び、びっくりした……。なに?
「
「ほほう?」
「山内君はさすがに面白いね。君たちは
な、何で名前を知っているんだろう? 私は怖くなった。
「まあとにかく、この機械――スマートフォンを触ってみたまえ。二つあるから、それぞれ手に取ってごらん。これは令和の世界でもっとも
「な、何か
山内レイジはジロリと
だが
「爆発なんかしたら、私も巻き込まれて死ぬだろう?」
うーん、それはそうだ。私と山内レイジは黙って、それぞれそのスマートフォンを恐る恐る手に取った。
「うっ……す、すげえ。何だこりゃ?」
山内レイジは声を上げた。私も
画面はとにかく美しく、たくさんの四角い小さい絵が描かれている。
「その小さい四角い絵は『アイコン』という」
指で画面を
私たちの世界で似たようなものといえば、「卓上電卓」か? でもあれは
「『YouTube』と書かれた四角いアイコンを、指で押してごらん」
「うわっ」
私と山内レイジは同時に声を上げた。
小さいテレビがたくさん出てきた? それを指で押すと、テレビがいきなり放送された。
「これはテレビではなく、『動画再生』というものだよ」
「し、信じられない。こんな高度な技術が、この地球上に存在するなんて!」
私は声を上げたが、少し我に返り怖くなった。
名前を知られているなんて、やっぱりおかしい。
「た、確かにこの機械はすごいけど、じゃあ何で俺たちはこんな機械を知らないんだ?」
山内レイジは私の代わりに、
「やっぱり、あんたは俺たちを殺そうとするスパイか何かだろ? それに何で、俺らの名前を知っている?」
「『こちら』の人間の情報は
ハッキング……スパイ映画で聞いたことがあるような気がする。やっぱり怖い人?
「刑事さんの言う、『こちら』とは、どういう意味ですか?」
私が聞くと、
「『こちら』とは、君たちの世界。『
私と山内レイジは顔を見合わせた。
「俺は令和の世界から来た刑事だ。専用の高速ヘリコプターでね」
「ヘリコプターで令和の世界から? ハッ、やめてくれよ! 夢から現実の世界に……、ヘリコプターに乗って来れるわけないじゃないか!」
山内レイジは鼻で笑って言った。
「確かに俺も、こないだ令和の夢を見た。亀の化け物を女の子二人が退治する夢だ。確か、夢の中の元号は『令和』だった」
「ほ、本当に私と同じ夢を見たんだね?」
私は山内レイジの言葉に驚いた。
「
山内レイジの言葉に、
「面白い見解だ。だが、さっきも言ったが、俺は本当に令和世界から来た刑事だ。この
そして言った。
「まず最初に――。君たちの世界の日本の頂点、女王と呼ばれる『
私と山内レイジは顔を見合わせた。
山内レイジは苦笑いをした。
「ハハッ。
山内レイジが言うと、私も「私も見たわ」とうなずいた。
だけど、あれは
「その
刑事は事も無げに言ってのけた。
「お、おい、バカな……」
山内レイジが声を上げると、
「そして二つ目。
「あんた何言ってんだよ。当たり前だろ」
山内レイジが怒ったように言ったが、
「だが実際は違う。
「そ、それはおかしいわ」
私は思わず言った。
「私たち高校生など若者は、『ゼッコン様』を倒すために日々、軍隊式教育を受けているんです。そのゼッコン様を造ったのが、
「おかしな話だぜ。あんたは夢の世界である令和世界から、こっちの
山内レイジは腕組みしながら言った。
「現実世界と夢の世界はどうやっても
「いや、
「この
「な、なんだと……」
「では、令和の世界に実際に行ってみるかね? 今度の連休に、俺のところへ来い」
そこには池袋にある「巣鴨プリズン
私の知る巣鴨プリズンは、もともと太平洋戦争の
今は巣鴨プリズン
「ちなみに令和の世界の巣鴨プリズン
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