第7話 二年ぶりの外出。そして副都心の巨大神社【令和八年】
デン子叔母さんが私の後ろに立ち、ひきつった顔で言った。
「あんたが外に出て何になるんだい、この
するとそのとき……。
「……
玄関に立っていた
そして
「あなたはリナが強い決心で、この玄関にいるのが分からないの?」
「は? わ、私はこの子のことを考えて言ったまでですがねえ」
デン子叔母さんはそう言いつつも
しかし
「いつでもあなたを『身体的
「へ?」
「あなたがリナを
「は、はひっ?」
デン子叔母さんは顔を真っ青にした。
「そ、そんな、通報なんて
デン子叔母さんはもみ手をしながら、
「し、しつけじゃない」
私は思い切って言い返した。
「暴力だよ!」
デン子叔母さんは私の言葉を聞いて舌打ちしたが、すぐにひきつった顔で笑った。
「リナ、全部あんたのことを思ってしたことじゃないか」
「叔母さんが私のお父さんのお金を、株やパチンコに使っているの、知ってるんだから!」
私の言葉を聞いて、ピクリとデン子叔母さんの眉をつり上がった。
お金の話となると、叔母さんは逆上したかのように顔が赤くなった。
「はあ? 株? パチンコ? 知らないね! このバカ小娘が!」
大ウソだ。
叔母さんは私のお父さんのお金を、好きなように使っているんだ!
だが、叔母さんは止まらない。
「あんた、この家に住まわせてやっている恩を感じられないとはねえ! 最低最悪の役立たず、大バカな小娘だよ、あんたは!」
「十八歳以下の子どもへの身体的
「そ、それだけは本当にやめてください! お願いします!」
デン子叔母さんは
「ダメです。通報します」
「ど、どうか! これでゆるしてください!」
そして私を笑って見やった。
「さ、さ、さあ、外に出なさい。で、でも、早く帰ってくるんだよ、リナ」
デン子叔母さんは不気味なくらいニコニコして、私を家から送り出した。
しかし私と
◇ ◇ ◇
車はすぐに発進した。
「リナ、池袋に行くわよ。大丈夫?」
運転席に座って運転している
――今、私は本当は震えるほど怖い。
二年間、家から出なかったのに、急に外に出ることになるなんて。
池袋は
小学生の頃は、池袋の
怖いけど……あの声……誰だか分からないけど、「大丈夫だよ」という声が聞こえたんだ。
きっと誰かが私を助けようとして、声をかけてくれたんだろう。
「……うん、大丈夫だよ。街に行ってみる」
私が言うと、
車は池袋の屋外駐車場に入った。
◇ ◇ ◇
「さあ着いたわ。降りてみましょうよ」
――私は車の開いたドアから、恐る恐る大勢の人のいる「街」に出た。
人々はまるで何かを探し求めるように、道を行き交っていた。
私のことを笑う人は全くいなかった。
◇ ◇ ◇
私と
少し歩くと石の
おや? ここは神社?
ここって……私が塾に通っていた小学校のころは、工事中だったはずだ。
「では、こっちへ」
門の前には男性の
「う、うわあ~! 大きい」
私は思わず声を上げた。
門の奥に見えるのは、
木造の三階建てで、ちょっとしたデパートと同じくらい大きい。
こ、こんな大きな神社、池袋にあったっけ?
「ここは『賢者大神殿』という場所です」
よ、よし。私もついて行こう……。
◇ ◇ ◇
気になるのは普通の神社とは違い、参拝客がまったくいないこと。
ちらほらと白いローブの人々が
「あの白いローブを着ている人々は、『賢者』と言います」
「ケンジャ……」
私は思わずつぶやいた。どこかで聞いたことがある言葉だな。
「さあ、中に入りましょう」
巨大な
「お待ちしておりました、
白ローブの老人は私を見てにこやかに言った。
私の名前を知っているの? 驚いた……。
「
老人は私にそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。