第2話 浄界八年の善川リナ【浄界八年】
私――
ここは……小さい部屋だった。正面は全面ガラス張り。ベンチに高校のクラスメートが座っている。
私は変な夢を見ていたな、と思った。自分の部屋で、体の大きな男の人に怒られる夢……。
確か、あの部屋の壁に
だが、私の後ろに
「リナ! あんた、早く起きなよ。バカ! ノロマ!」
ぼんやりした頭で
そのとき――。
外で
――いつもの
「起きろ!
頭の上から、大人の男性の声がした。
私はようやくハッとした。
「お前は戦場でも眠っているつもりか!」
私はベンチに座って寝ていたようだ。
見上げると、目の前には若い男性が腕組みをして立っていた。――先生だ。
「
二十代の若い男性教師で、女子からは人気があるがかなり厳しい先生。
私は
――そして今私がいる部屋は、正面が全面防弾ガラス張りの「
ガラスの外は
屋外
この
「早くしろよ! マジで順番つかえてんだから」
私の腕を、左に座っていた
い、
モニカはイギリス人とのハーフで、家がお金持ちのお
「トロいんだよ、バカ」
前の席に座っていた、モニカの手下のパン子も立ち上がり、私の
ちなみにパン子の本名は
あだ名のパン子は、家がパン屋だからきているらしい。
一方のモニカはきれいな茶色い髪の毛で顔立ちも美女で、とても目立つ存在だ。
ちなみにこの学校の制服は、ブレザー。
今も
「さっさと行けや! マジ
背中に
モニカに背中を蹴られたのだ。すぐに私は
そして背中の痛みを感じながら、外の
「
「はい、
私はもうバッチリ目が覚めている。
「姿勢点検!」
「はい、姿勢点検!」
私は左
えーっと、心持ち、重心を前にする……だっけ?
「
ふう、と息をついたとき、
「安全装置確認!」
「あっ、は、はい! 安全装置確認!」
私は指で
先生が
「まったく
生徒が一通り撃ち終わると、
「――皆、外に出て整列!」
モニカとパン子は外に出て、私を見て、「バーカ」と言い笑いながら整列した。
他の生徒たちも素早く並び、「休め」の姿勢を取る。
私は
モニカたちは二発も
「ダメだ、お前たちはまったくなっていない。このままでは『ゼッコン様』に全員殺されるぞ!」
ゼッコン様とは、現在の日本国に出現する謎の敵だ。
漢字では「絶魂様」と書くらしい。なぜ敵に「様」をつけるのか、分からない。
「この間は、北海道に『ゼッコン様』が出現した。――百名が殺された」
だが、私はそのゼッコン様なる敵の姿を見たことがない。
政治家は
しかし、一般
そのテレビのニュースに、ゼッコン様の映像は一切、放送されない。
「政府は君たち高校生に
「心身を
そして続けて言った。
「いいか、けしてゼッコン様を恐れるな。私もそいつの姿は見たことがない。だが、恐れることはない。人間は可能性があるからだ――。では、解散!」
◇ ◇ ◇
学校の放課後――私は
私の家は池袋の南にある
切符切りの駅員さんが、私の切符を切った。
私は改札口を出て、伸びをした。
私はいつも学校帰りに寄る、池袋の地下街にある本屋に行った。
『知っての通り、我が国は【
レジのおじさん店主が見ているブラウン管テレビには、ワイドショーが映っている。女性司会者が胸を張って言った。
現代に生きる謎の支配者「
ワイドショーの女性司会者は続けて言った。
「今の
しかしそのとき――。
ワイドショーの番組に嫌な電子音が響いた。
「ニュース速報だ!」
店主のおじさんが叫んだ。
テロップが上に出ている。
『ニュース速報 東京池袋に【ゼッコン様】が出現。池袋周辺に住む人は、神社やお寺などにお逃げください』
えっ?
私はあわてた。
これ本当? ゼッコン様がこの近くに来るって?
私は素早く本屋を出た。
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