卑弥呼の転生者~令和の時代に、卑弥呼の私が生まれた。私が鬼道の術で日本を救います!
武志
第1話 PROJECT.U【令和八年】
外では
それは令和八年、六月のある日のことだった――。
「もう一人の私がいるような気がする。夢で見たの! その子は
私――
明らかに私はおかしいことを言っている。それは分かっている。
でも私は、「もう一人の私」の夢を見たのだ――。
ここは私の自分の部屋、子ども部屋だ。
「もう一人のあんただって?
私の奇妙な言葉を聞いて、デン子叔母さんが声を
私は十六歳の女の子。
いつもベッドの上に座っている。
本来は高校一年生になっている
――私が引きこもったのは、中学一年生のときクラスメートからいじめられたのが原因だった。
「……そんな夢を見たんだよ」
私は恐る恐る、叔母さんに言った。
「……その子は私にそっくりなの。それに私は、誰かの生まれ変わり――だと思う」
「
デン子叔母さんは、私の
私の
「いつまでそんな
デン子叔母さんの本名は
いつも一階の机で、電卓を使い株とパチンコ代の計算をしている。
だから私は、「デン子叔母さん」とひそかに呼んでいる。
――部屋の壁に
「た、確かにそれは夢だよ。でも、もう一人の私は、実際に本当にいる気がする」
私はベッドの上で、デン子叔母さんに向かって叫んだ。
私は、私にそっくりの女の子の夢をよく見る。
彼女は制服を着て、
「うるさいっ! 口を閉じろ!」
私を、デン子叔母さんは
デン子叔母さんは私のお父さんの妹だ。
私のお父さん――
だからデン子叔母さんは、私を自分の家であずかるしかなかった。
「この頭のおかしい子どもが! 一階に
「……ええっ? あの先生、もう嫌だ!」
デン子叔母さんは私の言葉を無視して私の部屋を出て、一階に降りて行ってしまった。
そして――。
ギシッ、ギシッ。
心を
「またくだらんバカなことを言っているのかね! リナ」
そんな声とともに、乱暴に部屋の扉が開いた。
そして、筋肉質の
彼はまるで
「バ、バカなことじゃない」
私は
「そんな夢を見るんです。でも、もう一人の私は本当にいると思う」
「くっだらん!」
彼は五十二歳のカウンセラー。
テレビ出演が数十回もあり、有名なカウンセラーだ。
体を
カウンセラーは私のような引きこもりの子の家に、保護者が依頼し訪問してくる場合が多い。
「君の言っていることは
彼の後ろには女性の助手さんが立っている。
彼女が来るのは三回目だ。
きれいな人だ。髪の毛を後ろでまとめている。
年齢は三十代
「……そ、それに私は……誰かの生まれ変わりのような気がする」
これは夢で見たことではないが、私は、普段なんとなく感じていることをそのまま言ってしまった。
「誰の生まれ変わりだと言うんだ?」
「……
えっ?
私はそんなことを言うつもりはなかった。
なぜか、口から勝手にそんな言葉が出てきてしまったのだ。
まるで私の奥の魂が、私に言わせたように……。
「その……
確かに私は
まさか自分があの歴史上の
しかし今、
「
「先生、そんな勝手に病名をつけられては……」
助手の女性は静かに言った。
――カウンセラーは医者ではない。
医者のように勝手にクライアント――依頼者に病名をつける
しかしこの
「良いんだ。私は有名人なんだぞ!
「そんないい加減な」
「私が
私は震えあがったが、
そして電子タブレットに指で何かを打ち込み始めた。
「おい、
「
「あの……」
私は思わず、
すると……。
「PROJECT.U……」
え?
「あなたの手の甲には、そう書いてある」
プロジェクト……何? どういう意味?
私は右手の甲を見た。
だがそんな言葉は、どこにも書いてなかった。
「また来ますね」
(ん……)
私は急に眠くなった。
私はいつも、突然眠くなる。
私は仕方なくベッドに横になると……そのまま寝てしまった。
◇ ◇ ◇
私――
……周囲を見回す。
ここは……小さい部屋だった。正面は全面ガラス張り。ベンチに高校のクラスメートが座っている。
(あれ? 私、何をしてたんだろう? あ、そうか。
思わずつぶやいた。
私は変な夢を見ていたな、と思った。自分の部屋で、体の大きな男の人に怒られる夢……。
確か、あの部屋の壁に
だが、私の後ろに
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