扉を開けたら異世界でした《休日はお弁当を持参!魔法のある異世界で冒険します》

@nano21975

第1話 私の話


「ただいま~っと」




 仕事から帰宅して

 誰も居ない部屋で独り言ちる。




 私、芹沢 瑠璃は




高校卒業してから

 学生の時アルバイトしていたパン屋にそのまま就職し社会人4年目の21歳。


 何とか食費など切り詰めながらギリギリ1人暮らしをしている。




 私が赤ん坊の頃、孤児院の前に置き去りにされ芹沢院長に保護され18年間親代わりに育ててもらった。


 私の特殊な容姿を眇める事なく孤児院のみんな平等に愛情を与えて貰えたのは今思えば幸運だったと思う。


 もちろん孤児院の一部の子、学校の特定の生徒など偏見や蔑みに合い泣かされた事も多々ある。


 そんな中でも親代わりの芹沢院長はじめ少ないながらも友達や仕事仲間に励まされ

 21年間何とか擦れずにグレず生きてこれた。




「さて、晩ごはんでもつくりますかぁ」




 職場の売れ残りパンを安く購入して主食はあるので、作り置きのおかずと簡単な野菜クズを使ったスープを作って夕食を用意する。


 生活費ギリギリだからなるべく食べないように…と思うけど、体力勝負の仕事で食べないと力入らないし何より食べるのが大好き!


 食べるのも好きだが作るのも好き。

 だから苦にならないのだ。




「スープも出来たし味が馴染むまでシャワーでも済ませるか」




 シャワーもなかなか厳しい。

 出しっぱなしに出来ないし身体も温まる前に素早く済ませる。


 本当はバスタブに湯を張ってゆっくり浸かりたいのだが節約しなきゃね。


 飲食を扱う仕事だから清潔は不可欠なのだ。




「いただきます。」




今夜の晩ごはんは

 売れ残りの惣菜パンに作り置きの冷凍野菜をレンチンして冷凍胸鶏肉を茹でて自作のドレッシングで和えたものとクズ野菜の溶き卵スープ。


 何とも残念な字面だがボリューム的にはますまずだ。


 お肉は月に一度、業務スーパーで買い小分けにして全て冷凍保存して野菜などは茹でたりレンチンなど調理して冷凍保存。


 冷凍庫と電子レンジ様々です。




「ご馳走様でした。」




 ご飯とお風呂も済ませ

 明日は束の間の休日。





「読書でもして夜更かしでもしますか」





 鞄からスマホを取り出してベッドの上に寝転んでweb小説にある読みかけのファンタジー小説を読み耽る。




(もちろん電気は消してスマホの灯りだけが浮かび上がる)




 どれぐらい時間が経っただろうか




 夢中で小説を読み進めうっかり寝てしまったみたいだ。




 まだ周囲は真っ暗




 喉が渇いたので水でも飲もうとキッチンに向かうため電気を点けると




「何だ、これは…扉?」




壁には謎の扉があったのでした。










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