第24話 一線

腹の一部がヨーグへ ぶつかる瞬間。


「(これは…消化液!)」


彼女は成分を操作しセルロースの盾を作って消化液の直撃を防ぐ。


消化液だと気づくのが少し遅れていたら、ヨーグは その場で消化されていた事だろう。


だがナトにも消化液が飛んでくる!!


「⁉︎…!」


セルロースの盾を彼の前に複数 設置し、消化液を防いだ。


「あぁ ありがとうございます」

↑ナト


↓ヨーグ

「心配しないで」


マグローは消化液の弾幕を素早く掻い潜り、爆発性の高い水滴を口から飛ばす。


ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


水滴が全て人型生物兵器の目の前で爆発し、奴の体を吹っ飛ばした。


だが やはり飛沫が人型を形成して復活したようだ。

彼はマグローと距離を取って突き技を発動する。


ズドドドドドド


「(小さくなっている⁉︎)」

↑マグロー


マグローは爆破した事によって体の大部分が飛び散り、人型生物兵器の体が、人間と同じくらいのサイズにまで小さくなっている事に気づいた。

だが突き技の範囲は余計広くなったようにも感じる。


「(あと少しか!)」


ナトとヨーグも その事に気づき、3人は攻撃を避けながら前へ出た!


その直後、人型生物兵器が浮遊した!


「⁉︎」「⁉︎」「!」


彼は空中から腕を尖らせ、地上にいる2人に突き技を繰り出す。

地面の突かれた箇所に穴が空くほどの威力だ。


マグローは空を飛んで空中にいる人型生物兵器に攻撃する…










…前に、人型生物兵器が突き技で迎撃した!


ブシャァァァァァァァ


真正面から攻撃を喰らい頭の部分を貫かれたマグローは地面へ墜落する。


ナトはマグローへ駆け寄った。


「大丈夫かマグロー!しっかり しろ!」

「背骨が やられたよぉ…俺の事は気にしないで。復帰するから ちゃんと」


「いや もう休んでいろ…俺はマグローに色々任せすぎた ごめん」


「そんな…俺が何も できないみたいな言い方」

「ごめん!そんな つもりは なかった!」


ナトはマグローを少し離れた安全な場所へ移す。


「生物兵器がとか…そんな事は関係無い、気にしないで良いから」

↑ナト


↓マグロー

「ごめんねぇ…」



ナトは急いでヨーグの元へ戻る。そしてヨーグは小さくなった人型生物兵器を追いかけていた。


「(攻撃が当てにくい!)」


人型生物兵器は飛沫を吸収して巨大な体を戻ろうと試みる。


しかしナトが直前で人型生物兵器を蹴り飛ばし、飛沫から遠ざけた。




ガヂッッッッ


突然 人型生物兵器が金具で固定される!

ヨーグが鉄分を集めて金具を生成したようだ。


「ぅぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


ナトが固定された人型生物兵器の首を掴み、窒息させようとする。



「⁉︎…」



↓ナト

「(ねェェェェェェェェ)」


「ナトちゃん、殺意が湧いて感情的になっているよ!」

↑ヨーグ


「…ハッ⁉︎」


すぐさまチェーンを生成してナトを手元に引き戻すヨーグ。


「ハァハァハァハァ⁉︎…ハァ」


「ナトちゃん、殺意なんて湧いたら終わりだよ。

一線を超えちゃ、私たちまでと同じになる」


「ハァハァハァ…あ、ありがとうございます…」


「私も仲間が闇堕ちした姿は見たくないからね」

「…………」



ナトはもう一度、人型生物兵器の元へ向かう。


人型生物兵器も腕を尖らせ攻撃をする!


ズキュズキュズキュズキュ



突き技を回避しながらナトは人型生物兵器の首に納豆の糸を巻き、それを利用して彼の目の前へ一瞬で移動した。


そして胸に向かって拳を振る!


「ぐっっっ!!!」


そして彼は胸の中から何かを引っ張る!


ヨーグも2人に接近し、ナトの背中を引っ張った。

どうやら体内にいる人間を引っ張り出そうとしているらしい。


「うぉおおぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉおぉおぉ!!」


ビチビチビチビチビチビチビチ










ブシャァァァァァァァ


人型生物兵器の体内から、人間を救出する事に成功した!



バジャァァァァァァン



「⁉︎………」


人間が引っ張り出された直後、人型生物兵器の体が崩れ落ち始めた。なぜか彼は力を維持できなくなっている。


バシャッッ


鬼の仮面を被った人型生物兵器は、人型から液体となって地面に広がり、消滅した。


「⁉︎…」「!…」






◇◇◇









雨が止み、空が晴れる。田んぼの真ん中で3人は会話していた。


救出した人間はヨーグが しばらく面倒を見る事にするらしい。


「ヨーグさん、先ほどは ありがとうございました」

↑ナト


↓ヨーグ

「ううん良いんだよ〜、最初は誰だって通る道だし、君も まだまだ若いって事〜」


「そうですか…」


↓マグロー

「俺ら東京で事務所を構えているんだけどさ、たまには遊びに来なよぉ」


「うん ありがとね〜絶対遊びに行くから〜」



「じゃあ行こうか、マグロー」

「そうだねぇ早くしないとぉ」


ナトとマグローは、田んぼの真ん中の道を歩いていった。

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