第22話 ヨーグ

塔内を進んでマグローはナトが安全に道を通れるよう生物兵器を片付けていた。



ブシャァァァァァァァ



「(ハァハァ、塔内に一体どれくらい生物兵器が生息している事やら…シェアハウスじゃん)」


マグローが心の中で文句を言うほど生物兵器が犇く この山奥の塔。

外では雨が降り始めたようだ。湿気が多い。



彼が階段を登りながらナトよりも先を進んでいると、巨大な斧を持った巨大な人形が勢いよく降りてきた!!


「オノ人形⁉︎」


思わず声が出てしまったマグローだが、オノ人形の振り下ろした斧を躱し、尾鰭で人形の頭を吹き飛ばす!!


ブシャァァァァァァァ



オノ人形は頭を再生しようとするが、その前に斧を横に振ってきた!!


ブシュッッ


マグローの体に斧が刺さる!オノ人形は頭を再生し、180°頭を回転させて彼を睨む。


「(顔が怖い怖い)」


ピエロのような…こんな顔で追いかけてきて斧を振り回されたら恐怖でしかないだろう。

なのでマグローは鱗で体に突き刺さった斧を掴み、自身が回転してオノ人形を振り回した!


ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


ズドカァァァァァァァァァァァァァァン



オノ人形は吹っ飛ばされ壁についた松明が胸に突き刺さり、液体となって消滅する。


「………⁉︎」



マグローの目の前から、大量のビーが飛んできた。


「(あヤバい避けn)」



ビーたちはマグローを取り囲み、熱殺蜂球を試みる。


最高2000℃の超高熱が彼を襲い始めた!





その瞬間を見たナトは焦り出す。


「(まずいマグローが熱殺蜂球に…!)」


彼は納豆を腕が発射し、蜂球の外側にいるビーたちを射殺した。


しかし それだけではマグローを助けられない!

蒸しマグロにされる前に どうにかしなければ。



「んっ!」


ナトは思いっきりジャンプして蜂球へ攻撃しようとした。


しかし、その時の衝撃で背負った人間が床に落ちてしまう。

そして人間の すぐ後ろには謎の生命体が迫ってきている。


「あぁまずい!」


ナトは人間を運ぼうと足を止めたが、また止めた。

目の前のマグローを救出するのが先か、人間を運ぶのが先か。


だが人間は仮に吸収されても 後で取り戻せる。

なら先にマグローからか。


「(はっ‼︎ヤバい どうしy)」



「悩んでるね〜」

「⁉︎」



突然 上の方から声がした。ナトが上を向くと何もいない。

しかし横を見ると、ナトと同じ姿だが色だけが違う生物兵器がいた。


「ワ!」


「まぁ私に任せてよ」


白い その生物兵器は手を前に出すと、謎の生命体の すぐ目の前にいる人間を引き寄せる!!


「(え⁉︎…)」


「私も手伝うよ。ちょうど私も この塔に囚われて、さっき脱出したばっかだし」


引き寄せた人間をナトに渡すと、白い生物兵器は熱殺蜂球へ向かう。



その直後、熱殺蜂球の中心から巨大な棘が一瞬で生えてきて、ビーたちを串刺しにした!

そして流れるように中からマグローが出てきた。


ブシャァァァァァァァ



ナトは思わず瞬きを2秒で11回する。

その後 我に返って人間を背負い、背後から迫る謎の生命体から逃げ出し始めた。

そして白い生物兵器に尋ねる。



「あ、あなたは⁉︎」



「私はヨーグ。よろしくね〜ナトちゃ〜んマグローちゃ〜ん」


「「えぇ⁉︎」」


ヨーグは初対面なのに馴れ馴れしくナトとマグローに抱きつき顔をグリグリした。


背が自分よりも低い上に、初対面から こんな距離感なヨーグにナトは自信を無くしてしまった。


「えぇ…は、離れてください」


↓ヨーグ

「あっは〜ごめんね〜。私も生物兵器を駆除する活動をしてるんだけど、この変な液体の生物兵器に監禁されててね〜。

いやぁ久しぶりのオリジナルな生物兵器に出会えて感動しちゃったよ〜」


「なるほど…?ってか俺たちの名前知っているんすか」


「あぁ、生物兵器の中では まぁまぁ有名だよ君らは〜。

私も それくらい有名になってみたい もんだねぇ〜」



↓マグロー

「ヨーグ、この塔に侵入した時どこから入ったぁ?

俺ら、出口を目指しているんだけどぉ、どこにあるか わからなくてぇ…」


「そんなんなら私が先導するよ!!」



ヨーグがマグローよりも先を走り始める。


すると奥からビーたちの応援が飛んできた。


↓ビーA

「(窒息スクラムな)」

「(了解)」

↑ビーB


ビーたちはヨーグへ真っ先に飛んでいく!

そして彼女の口元へ次々と集まった。



ブッッッヅッッッヅッッッッブッッッッ


ビーたちはヨーグを圧迫させる事で呼吸困難に陥らせ窒息死させるつもりだ。

羽音がうるさい。耳が ぶっ壊れそうだ。

忘れてはいけないが、後ろからは謎の生命体が近づいてきている。


「ヨーグさん!」「ヨーグ!」


ナトが腕を構えて納豆を発射しようとする。

しかし 死角から飛んできたビーに腕を刺されてしまった。


グザッッッッ


「ゔっっ⁉︎」

「ナト!」


「(ビーの毒は刺された数時間後に脳が溶けて鼻から全て流れ出し○に至るほどの猛毒…。

生物兵器だから なんとかなるが、それだと戦闘に かなり不利。脳を再生するまで思考能力が消える という事だ)」


ボキッッッ


マグローもビーたちの強力な顎に鰭を噛み砕かれ、動けなくなっていた。



謎の生命体が刻一刻と迫ってくるのが わかる。



ヨーグは手を上げると、突然ビーたちが飛んできたナイフによって切断された!


ブシャァァァァァァァ


ブシャァァァァァァァ



「え⁉︎…」「わぁ…」


「早く行くよ!人間を背負って…帰ろう!」

↑ヨーグ

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