第21話 救出作戦

「「(人間⁉︎)」」


お面を被った何か は倒れている人間を優しく撫でている。

危害を加えるつもりは無さそうだが、いつ何をするか わからない危険な状況。


どうやら人型生物兵器が鬼の顔の仮面を被っているようだ。


「(何しているんだ?人間の方は気絶しているだけで触られている事にすら気づいていなさそうだ。

あの人型生物兵器は人間に触れて何をしている?母性すら感じるが…)」


ナトは謎の人型生物兵器に近づこうとするが、マグローによって止められる。


「ナト、ここで近づくのは危険だよぉ。人質を取られると厄介だしぃ…」


「でも その割には人間を丁寧に扱っているようなんだ。ほら、撫でられている人はクッションの上に乗っている。

ここは会話してみるのも手かなって」


「なら俺も信じてみるよぉ、ナトが言うんだし」



2人は鬼のお面を被った人型生物兵器に近づく。


それに気づいた人型生物兵器は、なんと撫でていた人間を口の中に吸い込んでしまった!


「⁉︎」「えぇ⁉︎」


そして彼は まるで液体が集まるかのようにドーム型に変形する。2人は身構えた。



しかし人型生物兵器はドーム型になっただけで何もしてこない。


ナトとマグローは一斉に攻撃を仕掛けた!



ズバァァァァァァァァァァァァン


ナトの納豆集中射撃によってドーム型の液体が飛び散っていく。

そこにマグローが鱗を飛ばして細切れにした。


ジャキジャキジャキジャキジャキ



ドーム型になった液体の生物兵器は何も抵抗せずに崩れる。

そして中から先ほど吸い込まれた人が出てきた。特に怪我などは していない模様。


「この人どうするぅ?やっぱ救出するしかないよねぇ」

「それ俺が言おうとした やつ」



ナトは気絶している人間を背負って、マグローと共に部屋から出ていった。










ナトとマグローは長い廊下に辿り着く。

塔の端っこ らしく、大きな窓が壁に並んでおり、その下側のガラスに囲まれた所には草木が育てられていた。


「ここまで来れば なんとかなるか⁉︎」

「ふぅ、とりあえず この塔から脱出しないとねぇ」


ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ



ドボドボドボドボドボドボ



その時、2人の後ろで天井から半透明の水塊が次々と降ってきて、それらが合体し巨大なスライム状の物体が形成された。


「「⁉︎…」」



巨大なスライムは顔は無いもののナトたちを狙っているようにも見える。

さらに こいつ からは何か妙な気配がした。


↓ナト

「(このスライム、さっき倒した人型生物兵器と同じ個体か⁉︎

体を変形させているのか…この人間が そんなに欲しいのか⁉︎)」


「どうしたのぉナト、体が震えているけど…」

↑マグロー


「この謎の生命体スライム、さっきの人型生物兵器と同じ奴だ。この人間を狙っている!」


「えぇ⁉︎不死身なのぉ⁉︎」

「おそらく…攻撃しても無駄だと思う」


「なら とりあえず人間を連れて逃げよう!

どっかに出口があると思うよぉ、早く!」



2人は気絶している人間を連れて廊下の向こうへ走る!

スライムのような謎の生命体は2人を追いかけた。





廊下を抜けるとドーム型の部屋に来た。

天井が抜けており、月の光が差し込むが人を背負った状態で登るのは難しい。

ましてや背後から謎の生命体が追いかけてきていると思うと緊張して踏ん張りが きかない。



そして何より、生物兵器が複数いるのだ。

また倒したら液体になって消える奴ら だろう。


「マグロー、俺は この人を守るのに戦闘は厳しいから生物兵器の駆除を頼む!」


「おっけぇ わかってるよぉ!」



マグローはナトよりも先を進み、ナトの進行の邪魔になる生物兵器たちを倒す事にするようだ。

もちろん背後から謎の生命体が追いかけてきているので手短にやる必要がある。




また しばらく進むと暗く長い廊下が。

そして巨大な球体の生物兵器がいた。




マグローは浮遊している一つ目の巨大な球体から放たれる電気の弾を避けながら、球体の生物兵器を鱗で切断した。


ブシャァァァァァァァ



しかし真っ二つになった球体の生物兵器は それぞれ切断箇所から体が再生し、2体の球体の生物兵器となって動き始める。


「(あぁそうだブンレーツは3回分心臓を破壊しなきゃならないんだった)」


彼は水を単発で口から撃ち、攻撃される前に球体の生物兵器たちの心臓を それぞれ破壊した。


ブシャブシャ



まぁまぁ撃破に手こずったマグローは、後方にいるナトたちの状況を確認。

まだ謎の生命体が人間に近づく事は無さそうだ。



マグローは焦って進み、広い空間に出た。

瓦礫の山が中心に置いてある。この瓦礫を窪みの反対側にある廊下に繋げられれば近道となるだろう。


しかし そんな事している場合ではない。



「(まずは この部屋にいる生物兵器を倒してからだ、考えるのは それから)」




「マグロー!!」


「(ん、ナトがなんか叫んでいる⁉︎)」



マグローが来た道を戻り、後ろのナトの方へ向かう。

なんと人間が謎の生命体に吸収されており、半透明の体が はっきりとした青色の体に実体化しているのだった。


「えぇ何シテンノ⁉︎」



「いや、攻撃が通じるようになった」

「え⁉︎」


ナトは人間を吸収し、逃亡している謎の生命体に向かって跳び拳をぶつける!



ズバァァァァァァァァァァァァン


謎の生命体は あからさまに攻撃を受けたよう振る舞い、元の液体に戻って崩れていった。


吸収された人間も無事なようだ。ナトたちはホッと一安心する。


「これでわかった。この人が謎の生命体こいつに吸収されても なんとか救出はできる。

そして吸収したら謎の生命体は実体化して攻撃が効くようになる。

あのまま逃げられてたら どうなってたか わからないけど、今は塔の外に この人を運び出そう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る