絶望の塔

第19話 ようこそ絶望の塔へ

ショウユウと別れたナトとマグローは今の所、街へは当分戻らず本当に一ヶ月ほど森で暮らすらしい。



そして今、街の方へ向かっている生物兵器と戦闘している状況であった。



「マグロー!」

「心配しないでぇ!」


2人は巨大なホチキスのような生物兵器の周りを走りながら、ホチキスの攻撃を避ける。

こいつ は先ほど王の蟲かご という廃墟と化した動物園から脱走した個体だ。



ホチキスは口から針を飛ばす!


ズキュズキュズキュズキュ


ナトは後ろへステップしながら針を避け、納豆を撃った。


ズッ


ホチキスは自身の装甲により、納豆を弾かせる。



かと思いきや、納豆の粒1つ1つが糸を張って装甲に へばりつき、ホチキスから離れない!


「ワンッ⁉︎」


ホチキスは暴れて納豆を取ろうと試みたが納豆は離れない。


「ワンワンッ!!」



そこへマグローが奴の背後から忍び寄る。


「(体当たりは強力だが視認されてないな…目が どこにあるのか知らんけど)」


彼はホチキスに向かって鋭い鰭を構え突進した!


ジャキーーーーン



なんとホチキスは後ろにある刃のような尻尾で、マグローの攻撃を受け止める!


「グルルルルルルルルルルル…」


だがマグローは鰭だけが武器ではない。彼は口からイクラを発射し、ホチキスの装甲を凹ました!



ザァァァァァァァァァン


「キャン⁉︎」


「(よし今なら!)」



ナトはジャンプし、踵をホチキスに向けて落とす!!!


ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ



「⁉︎…ナト!」


「え…⁉︎」



突然2人はホチキスへの攻撃を やめて離れた。

向こうの空から何か大群が飛んでくるのが見える…。



「何あれぇ…蜂?」


「ビーかな…?」



人と同じくらいデカい蜂の大群がホチキスを取り囲んだ。

直後、この蜂球ほうきゅうから湯気が発生する!


「え、熱殺蜂球ねっさつほうきゅう⁉︎」

「な、何それぇ…」


「ビーが獲物を球状に取り囲み腹部の筋肉収縮・翅の振動などを利用し中心部を2000℃近くまで上昇させ蒸し○すという○り方だよ。

オオスズメバチが巣に侵入してきた際、数百匹のニホンミツバチがオオスズメバチを球状に取り囲み、同じく蒸し○す事もあるが、狩に使うのは この蜂の生物兵器ビーくらいだ」


「えぇ2000℃⁉︎」

「ビーは元々 体温が高い生物兵器だが普段は体温を制御しているからね。1匹だけでも50から60℃くらいある。

その体温を解放して高熱で餌を蒸し潰す えげつない行為だよ」



ホチキスはビーという蜂の生物兵器たちに蒸され倒れてしまった。

どうやら心臓を破壊された状態と同じ状態になっているらしく、ホチキスはすでに瀕死状態である。


だが実際には心臓を破壊されていないので消滅はしない。

ビーたちは動かなくなったホチキスを持ち上げ、せっせと どこかへ運んでいく。


おそらく巣であろう。ナトとマグローは追いかけた。


















山道を歩き続け夜になった。


坂の上に、何か巨大で長いものが見える。


「(なんだ…あれ)」

「ん…ナトぉ」


「どうした?」

「あれってぇ…塔?」




2人が目にしたのは、山奥に聳え立つ塔に、ビーたちがホチキスを運んで入っていく ところだった。

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