鬼天城の里

第13話 眠りの森

ナトとマグローは動物愛護団体の連中に顔を覚えられてしまったため、しばらくは家に戻れなかった。


そして、人があまり立ち寄らないであろう田舎の方に一ヶ月ほど隠れ住む事にするようだ。




そのために今、人気の無い森の中を歩いている。



「どこへ住むのが良いかな、マグロー」

「さぁ…川の近くとかぁ?」


「うーん、その方が良い」






しばらく歩くと、なんと木に人が寄りかかって座っている。


「…遭難者か⁉︎」


ナトは その人に近づき、声をかけた。


「すみません、どうされましたか⁉︎」


「……」

↑人


↓マグロー

「もうすでに?」


「いや、まだ息はある。深い眠りについているだけのようだ。こんな森の奥で なんて無防備な…」


「どうやら彼だけじゃない みたいだよぉ」

「?」



マグローが鰭を動かして さらに森の奥を差した。


なんと大勢の人が眠っているではないか!

さらに人間だけでなく、熊や鹿などの動物までも。


「熊だ危なi…いや寝ているのか⁉︎」


「周辺の人間含む動物の大半は ここに集結されてそうだよねぇ。こんな事する奴って誰だろぉ」


「人間の仕業だとすれば、身代金などのために誘拐してきたのだろうが、中には大柄な人までいるし、そういう事をする人こそリスクが多いから避けると思う。それに熊や鹿を連れてくる必要は無いはず。

あと人を監禁するなら屋内の方が良いだろうが、この人たちは外に放置されている」


「やっぱ生物兵器かなぁ?」




「そうかもしれない。今夜、この近くで張り込みをしよう。

マグロー、テントを張ってくれ。俺は水を汲んでくる」


「おっけー」



◇◇◇





夜になり、辺りが暗くなってきた頃。


ナトは焚き火で飯盒炊爨はんごうすいさんしていた。取ってきた魚も焼いている。

一方でマグローは、人々が寝ている場所を見張っていた。


「(これだけ人を集めているから、つい最近の事件じゃないと思うけど…)」











ナトの焚き火によって煙が上がっていく。


その煙を、遠くから見ている者がいた。

同じくテントを張っている者だ。だが人間ではない。


「(おや、人間か…?)」















「⁉︎」


マグローは何者かの接近に気づき、急いで草むらに隠れた!


「(何か来た)」






「たく、ここまで集めても まだ放置とか、いつになったら食べさせてくれんだ?」


「まぁ そのうち なんじゃーん?私は なんだって良いよ別に」


尻尾を上げたエビフライのような虫と、羽が生えた少女が人間や犬を運んできた。


↓マグロー

「(シリゾケムシとゾンビフェアリーが共に行動してる…)」



エビフライのような虫・シリゾケムシが言う。


「あの2人も そろそろ戻ってくるか?」


「さすがにねー」


羽が生えた少女・ゾンビフェアリーが気楽そうに答えた。


「(何シテンダ?また人を集めた!)」

↑マグロー


「もう吾輩はおるぞ」


突然 木の上から声がした。見上げてみると、木の上にはハゲワシがいた。


足で人間の子供を掴んでいる。


「来たかハゲワッシ」

「遅いじゃーん」


「吾輩だって遅くなる事くらいあるから許せ」


「すまない、遅れた」



木の下には炎を身に纏ったカップケーキがいた。


「アッチケーキ、遅いぞ」

「家猫を集めるのに まぁまぁ手こずった。すまない…」




「(何しようと してんだ?)」

↑マグロー

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