第11話 栄養豊富なポイント

歩き始めた土地は頂に家を乗せている。

この家に絡みついている巨大な蔓植物が本体であり、土地を操っている張本人であろう。


マグローは焦ったが、すぐに正気を取り戻す。


「(あの足の柔らかそうな部分、根っこ かな?あの足で地中の栄養を吸い取っているのかな?

あの足を攻撃すれば、相手にダメージを与えられるかもしれない)」


彼は動く土地の泥が固まって できたような足についた、ブラシのような巨大な柔らかい根っこ部分に注目した。


「(向こう側にはナトがいるし、彼の方へ向かわせないようヘイトを稼ごう)」


マグローが動く土地の周りを飛び回り、攻撃を仕掛ける。

だがしかし、猛スピードで伸びる蔓にぶつかってしまい、地面に叩きつけられてしまった。


ズドカァァァァァァァァァァァァァァン



この音を聞いて、ナトはマグローが向かった方を見る。


そして動く土地を見て驚愕した。



「(なんだ あの巨大生物は⁉︎…いや、地面が動いているのか?マグローはどこへ…)」


彼はヒビ割れたコンクリートの上にいるマグローへ駆け寄る。

マグローの意識は朦朧もうろうとしているようだ。


「大丈夫か⁉︎…あの生物兵器は何⁈」


「こっちは心配しなくて良いよぉ…そんな事より、あの生物兵器をさぁ」


「……あの頂の家に絡まった蔓植物が土地を操縦しているのか」



ナトは土地の足に納豆を撃つ。


ズバァァン




ズッ


しかし納豆は表面の泥によって弾かれてしまった!


「(となると…あの足先のブラシのような根は…)」


彼は根を思いっきり殴る!


バチッッン



すると白っぽかった根が少し赤くなった。


「(攻撃が効いている!)」



しかし土地の方も反撃する。


3つの足を素早く動かし、ナトに向かって突撃したきた!


住宅街の家を踏み潰しながら迫ってくる25mほどの巨体は怪獣を彷彿とさせる。



「(まずい潰される!)」


ナトはマグローを抱えて走り出した!


ズドカァァァァァァァァァァァァァァン


土地が足を振り下ろした瞬間、地面が一気に揺れ、ナトが空中で回転する!


「ァァァァァ⁉︎」


その勢いでマグローが遠くまで吹っ飛ばされてしまった。


「マグローォォォォォォォォォォォォ!」


「起こした」

「⁉︎」



突然、ナトは背後にいる土地に話しかけられた。


重い声だ。聞いているだけで気分が悪くなるほどの重い声。


↓土地

「の貴様か」


「俺たちは生態系を改善させるために ここへ やって来た!

お前こそ誰だ!この地に元からいた奴ではないだろう!」

↑ナト



「ツチフミチ」


「ツチフミチ?」


「ャガマ」


「え?」




ツチフミチャガマと名乗った土地は続けて言う。


「俺、5文字」


「うん」


「以上喋」


「うん?」


「れない」


「おーん」


「一度に」




「え?」


訳:俺、5文字以上喋れない一度に



「は⁉︎…(なんでだ?頭が悪くて5文字以上の言葉を一度に話す事ができないのか?)」



↓ツチフミチャガマ

「この土地」


「うん」


「栄養ほ」


「ほ?」


「う富」


「んー」


「だから生」


「ん」


「物兵器」


「うん」


「が来る。俺」


「え」


「が先に見」


「えぇ」


「つけた土地」


「まさか…」



「だから出て」


「ほう…」


「いけ」



訳:この土地 栄養豊富だから生物兵器が来る。俺が先に見つけた土地だから出ていけ

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