第10話 動く土地
ナトは息切れしながらも、周りの生物兵器たちを睨む。
彼の前から、白や紫の大根たちが走ってきた。
「(こんな住宅地に生物兵器が大量にいるとは…)」
ナトは大根たちを蹴散らすと、マグローに向かって叫ぶ。
「マグロー、生物兵器の巣が付近にあるかもしれないから探してきてくれ!」
「わかったぁ!」
マグローは住宅街を飛び回る。
すると上空のカラスの大群が卵を発射してきた!
「!」
「カァカァ」「ガァガァガァ」「ガァーーッ」「カァカァッ」
「(すごい弾幕だぁ)」
彼はカラスたちの放つ卵の弾幕を華麗に避け、口からウニを放ち一羽のカラスを狙撃!
ウニは目で追えないほどのスピードと正確性で次々とカラスの生物兵器たちを撃ち落としていく。
「(なんか生物兵器の数が多いなぁ。いつもは こんなに同じ場所に集まらないのに…)」
直後、マグローの背後に幽霊のような見た目の生物兵器が現れた。
「(攻撃が、来るッ!)」
「ケケケッ、隙しか無い」
幽霊のような見た目の生物兵器は、手から皿を発射する!
ジャキジャキジャキジャキジャキジャキジャキジャキジャキジャキジャキジャキ
マグローの鱗を皿が切り裂く!
彼は後ろから飛んでくる皿を避けながら、大きく急カーブし皿を飛ばす生物兵器に向けてタックルをお見舞い!
ズドォォォン
「んっ、痛いなクソぉ」
「痛みを感じないよう終わらせて あげるよぉ」
ブシャァァァァァァァ
マグローは鰭で生物兵器を粉砕した。
ズバァァァァァァァァァァァァン
「ふぅ、生物兵器との集団戦は思ったより大変だなぁ。………………ん?」
彼はある事に気づいた。
「おや、あの家は…?」
住宅街の外れの方に、一軒家がある。
ボロボロで隣の家とは比べものにならないくらい古そうだ。
「(こんな変哲の無い住宅地にあんな変な家があるなんてねぇ)」
マグローは その家に近づいてみる。生物兵器が占拠している可能性があるからだ。
しかし近くで見てみると、巨大な蔓植物が絡まっている。
大きな蕾が3つあり、閉じたままだ。
「(なんだ この植物…外来種かな?)」
やがて、蕾が開き始めた。
「?」
ゆっくり ゆっくり開く蕾に、謎の緊張感が漂う。
ピチピチピチ
蔓が撓う音がした。
「⁉︎……」
マグローは絶句する。
蕾が開き花が咲いたかと思えば、なんと花だと思っていた部分は、実は花のような形をし伸びた目だったのだ!
本来なら
そして、家が建っている土地が動き出す!
三方向対称に泥が固まって できたような巨大で長く太い足が土の中から現れる。
その家は植物に絡まれたまま、高い所まで上がってしまった。
足を動かして、その土地が歩き始める。
「(⁉︎…と、土地が動いて立った⁉︎家に絡まっている植物が操っているの⁉︎)」
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