第5話 岬の謎

朝になった。



「おいナト、起きなぁ!」


パチッ


「ゔっ……」


マグローの鰭に叩かれ、目を覚ましたナト。

あの戦いの後、気絶してしまい、マグローに助けられたようだ。


↓ナト

「あれ…あの おばさん は?」


「俺が戻ってきた頃には いなかったよ…」

↑マグロー


「……………」







「そういや俺が海の方へ吹き飛ばされた時、岬を見つけたんだよ。例の岬なんだろうな きっと」


「⁉︎…マジか。となると、カクレアゲハは多分そこに生息しているだろう。

朝ご飯を食べたら出発する」





◇◇◇







海の方へ向かう2人。


坂を降った先にある森に入っていった。



その時、ナトの背中に何かがくっつく!


「⁉︎…あ、ストライム」


「ふぇ⁉︎」


ナトの背中にくっついたのは、緑のスライムのような生物兵器だ。


「(まずい、ストライムに纏わりつかれて移動しにくい!こうなりゃっ!)」


ナトは拳を握り締め、納豆を溢れさせる。

ストライムは驚いてナトから離れた。


その隙にナトが蹴りでストライムの心臓を破壊。


ブシャァァァァァァァ


だがナトの背後からは大量のストライムが!


「⁉︎…」


彼は腕を振り回し、風を起こしてストライムたちを吹き飛ばす!

そして指から納豆を発射し、一体ずつ正確に撃ち抜いていった!


ズシャァァァァァァァァァァァァァッッ



「ふぅ…」


その勢いのまま坂道を降りて、岩場へと着いたナト。


なんと周りの岩が突然動き出す。ナトは理解した。


「(ギターイの群れだったのか…!)」


岩を背負ったギターイたちが岩の下から現れ、ナトへ襲いかかる。

彼は理解したものの、ギターイたちの方が攻撃が早かったようだ。今からでは間に合わない!






ブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャ


突然スクリューのように回転しながらギターイたちを切り刻むマグローが飛んできた。

どうやら鋭利な鰭を伸ばして回転しているようだ。


「危なかったなぁ」

↑マグロー


↓ナト

「ありがと!」


「んで、あれが例の岬だよn」



ズバァァァァァァァァァァァァン



マグローが吹っ飛ばされた。ナトは慌てて そちらの方を見る。



どうやら小さな黄色い蛾たちが粉を発射してきたらしい。


「(ジョーガの群れのようだ…ここは生物兵器の坩堝るつぼか?)」


ナトは拍手し、手についた納豆の匂いを辺りに ばら撒く!


ジョーガたちは拍手の風圧で一瞬、気が緩んだ。


「(今!)」


ブシャァァァァァァァ



ナトは飛び蹴りをジョーガに喰らわし、消滅させていく!



「……ハァ、ハァハァ」


「お疲れ様、あの岬だよ」



どうやら周辺の生物兵器は全て倒したようだ。


マグローが言う岬は、すぐそこ。2人はすぐに向かった。





◇◇◇



「ここか…」「ここ」



2人が やっと辿り着いた岬。おそらくカクレアゲハの住処であろう。


しかし今、カクレアゲハの姿は見えない。

透明化しているのか?いや、これは奇襲だから すぐにバレるとも考えにくい。


「マグロー、本当に ここか?この岬は まぁまぁ景色が良いから すぐに見渡せるのだが…それらしき影は無い。

あるとすれば、鳥居くらいか…なんで?まぁ良いけど」


「でも近くの岬は ここしか無かったよ」

「とりあえず調査しようか」






潮風の強い この迷いの草原という岬は、気持ちが良くなるものの、やはり直射日光がキツい。


それは生物兵器にとっても同じ。超人的な身体能力や怪力を持ち、種によっては妖術のような特異な能力を使える生物兵器こいつらでさえ、気温には敵わない。

また、他の動物と比べて体温が異常に高いので、暑すぎると体が発火してしまいそうだ。




「ハァ、疲れた」



とうとう昼になっても、カクレアゲハを見つける事はできなかった。岬のどこを探しても奴はいない。


「ハァ、喉が乾いた…」

↑ナト


「そうだねぇ…でもジュースとか持ってくるの忘れた」

「そういや そうだったな」



2人は一旦飲み物を取りに戻るようだ。

下った坂道を もう一度上り始める。

せっかく下ったのに。



「⁉︎…いる?」

「ん」


突然ナトが呟いた。そして地面に耳を当てる。


「え、どした?」


「地中から、雰囲気を感じる。この仕事も長いから わかるんだが、地下に生物兵器がいないか?」


「え、わかんない」



「何かの音、縛っていないか?この地面の下で」

「ちょ、何言ってんのか わかんない」



「地面の下で生物兵器が何かを縛っている」

「マジ?」


「マジです」

「ファジかよぉ」



「…離れてて」

「うん」



ナトは思いっきり高くジャンプすると、落ちる直前に足を伸ばして真下にキックした!


「シュッタカツ!!」


そして着地すると同時に、土を破壊しながら地中に入っていく!


ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


ドォォォォォォォン




地面に人が通れるほどの穴が空き、マグローは困惑しながら中に入っていった。

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