第6話 繭

ナトがキックで穴を空けながら地中を進んでいくと、なんと洞窟の天井に出た。


「(…こんな辺境に人工的に掘られたような大空洞⁉︎

ドーム型で足場も整地してあるぞ…!)」


彼は洞窟の下に着地すると、辺りを見渡した。

暗いが、慣れれば なんて事無いだろう。



「(なんだ ここは…)」









「【悲報】ワイ、住所特定される泣」

「⁉︎」



いつのまにか、ナトの背後にカクレアゲハがいた。


「(背後を取られている⁉︎)」


「まぁ追い出せば ええか」


カクレアゲハは口で息を大きく吐いてで、もっと大きく息を吸った!!!



「⁉︎…」


カクレアゲハによるサイクロン式吸引攻撃だ!

ナトを捕食しようと しているらしい!


シュウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


ナトはサイクロンによって体の自由が効かず、吸い込まれてしまう。


「(まずi)」


ブシャァァァァァァァ



突然ナトが空けた穴からマグローが落ちてきて、カクレアゲハの背中を切る!


「ふごっ(もう1匹の方か)」



カクレアゲハは あの粉を撒き散らして、2人を失明させようと試みる。



「(カクレアゲハがマグローに気を取られている間に、この納豆を!)」


ナトは走りながら納豆を何粒かカクレアゲハの背中に投げて くっつける。



バッサバッサバッサ



「(粉…?)」


マグローは暗い中、降ってくるのが粉だという事しか見破る事ができなかった。



「危なァァァァァァァァァァァァァァい!」



ドサッッ



マグローを殴って洞窟の端へと吹っ飛ばす。


ナトは案の定、カクレアゲハの失明させる粉にかかる。


「え、ナト!」

↑マグロー



↓カクレアゲハ

「勝ったな風呂食ってくる」



「まだだ!」

↑ナト


「なんでや」



粉にかかり失明したナトは、カクレアゲハの方へ顔を しっかりと向けた!


「ハァ?」


「(さっき納豆を背中につけたから、納豆の匂いでカクレアゲハの現在地がある程度わかる!)」



さすがに失明しただろうと油断しているカクレアゲハに向かって、石をぶん投げるナト。



ブンッ



ブシャッ


「ファ⁉︎」


カクレアゲハの左の羽が千切れた!!


しかし すぐに再生。



「(なんや洞窟の落石か?)」

↑カクレアゲハ


彼は少し上側を見たが、特に異常は無かった。

しかし目線を戻すと、目の前にナトがいない。


「は?」


ブシュンッ



いきなり彼の背後から凄まじい風が!

カクレアゲハは振り返る。



なんとナトがジャンプし、カクレアゲハの心臓を殴り掛かろうとしてきたのだ!


「⁉︎…クソったれぇ!」



彼はサイクロン式吸引攻撃を繰り出す!


シュウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


ナトは吸い込まれていった。



「ナト!」

↑マグロー


↓カクレアゲハ

「さぁ後は…魚か」






















胃の中に入ったナト。



「(胃酸のpHは2ほどで かなり高い酸性。長居は禁物。

だが胃に空気が溜まる原因のストレスで、胃腸の働きが悪くなれば、げっぷ を誘発できる!)」


彼はカクレアゲハの胃の中で納豆を撒き散らす!


その直後、カクレアゲハが踠き始めた!



「うおおえ、体内で暴れ回っている…」


「(カクレアゲハがフラつき始めたなぁ…体内で何が起こっているんだ?)」

↑マグロー











「うぉぉぉぉォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」


ナトが心臓に向かって拳を振り上げ、胃を突き破る!


ブシャァァァァァァァ



そして心臓を破壊した!



ズバァァァァァァァァァァァァン





「うおおおおえぇぇェェェェェェェェ……!!」



バシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン



胃液と共に吐き出されたナト。カクレアゲハは踠きながら塵や煙のように消えていった。





ストッ




「ナト!」「マグロー!」



ナトは上手く着地し、マグローの元へ走っていった。

カクレアゲハが消滅したため、失明が治ったようだ。


↓ナト

「ハァハァハァ、なんとかなった…手足が少し溶けたが、こんくらいなら すぐ再生できる」


「ふぅ、一件落着だなぁ」

↑マグロー




「さてと…………ん?」



ナトは巨大な繭のような ものを発見した。


「これは…縛っているような音ってこれかな?」


「なんか人間でも入ってんのかなぁ」

「⁉︎…お姉さん!」



ナトは繭を破こうとするが、中々破けない。


しばらく すると繭が勝手に溶けた。おそらくカクレアゲハが消滅したからであろう。


そして繭の中にいたのは、老人であった。






















気絶した老人を家まで運び終えた2人。


↓ナト

「なんとか救出できたな。この付近に生物兵器は もういない みたいだし、これで一件落着だな」


「そうだねぇ。じゃあ帰ろっかぁ…」

↑マグロー

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