第2話 生物兵器駆除専門事務所

雨の日。

この街に住み始めて早5年のナトとマグロー。


今、ナトはローソンへ買い物していた。

彼は人型生物兵器ひとがたせいぶつへいきと呼ばれる人型の生物兵器が属するカテゴリに よく似た体型なので、人間に変装して買い物に よく出かけるのだ。


正確には、ナトは機械科きかいかと呼ばれる生物兵器界の奴隷の立ち位置である。

このカテゴリは機械やUFOなどのロボット系の生物兵器が分類されるのだ。


昨夜戦ったカマキリはむし生物兵器せいぶつへいきに属している。




「らーせー」

↑店員


※いらっしゃいませ


↓ナト

「からあげクンください」


「せるすー」


※セルフです


「あ、すみません…」


ピッ


「あーす。レシーす」


※ありがとうございます。レシートです


「……………」



ナトは店員からレシートを渡されるのを待っていた。

しかしレシートが来ない。


「あの、レシーt」


「は、前から出まーす」


ウィーーーン



「??????…」




買い物を済ませて店を出て行くナト。


「あーしたー」


※ありがとうございました



◇◇◇




ナトは雑居ビルへと入る。ここが彼らの家だ。



ナトとマグローの家は廃墟となった事務所をリフォームし、綺麗にした場所だ。



ガチャッ


「ただいま」


「おかえりぃ!」


マグローがナトを出迎える。ナトはローソンで買ってきた食品をテーブルに置くと、パソコンの前に座った。


2人は生物兵器駆除の専門の事務所と自称しているが、依頼を受け付けておらず、害獣被害の愚痴を書き込む専用のサイトで気になった書き込みを調べるといった感じだ。


目立つ行動をしてしまえば、自分自身が生物兵器だとバレてしまう。間接的に依頼主の依頼を解決するには、こうするしか無いようだ。


まぁ生物兵器の存在を知る人間は、この世に いないのだが。






「この服は全部もうフリマで売って良いの?」


「ん、うん良いよ」


マグローはスマホでソファに置かれた服を出品する。

人型生物兵器が着ていた服を売って生計を立てているのだが、大抵はボロボロなので、奴らを倒した後に服を回収しナトが修復している。



「おぉ、今日はラーメンかぁ!豪華だねぇ」


「いつも いつも安いもん ばっか買ってきて ごめんな。

金曜日くらいは良いもの食べようか」


マグローは喜びながら お湯を沸かす。ナトはパソコンの前に戻ると、目を止めた。



「…何々、旅行先の岬で見かけた巨大な虫の羽音が うるさいから近所の住民に文句言ってやった。ざまぁ…ほほう虫か」


彼は この愚痴書き込みが気になったようだ。


「(岬…か?虫というのは、か?)」


そしてマグローに言う。


「この岬は多分遠いから、2日はここへ帰れないかもしれない。そのラーメン以外の食品は持って行こう。

明日の朝、岬へ着こう。今から出発する」


「え何 ナト、その場所とその虫に心当たりでもあるの?」



から聞いた事がある…」

「え」


エリザベスとは、生物兵器の始祖であり、のリーダーである、だるま のような形の白いペンギン。

時間と空間と重力と氷を操る能力を持つ。


ナトとマグローもアルビノの生物兵器に所属しているのだが、過去に一度開かれた、エリザベスの元に日本各地の生物兵器が集まる会にて、彼が日本各地の管轄区域の警備を頼んだ、生物兵器が何体かいると聞いた。



「つまり、俺は大体この愚痴主を困らせている生物兵器の見当がついている。

そいつの名は、だ…多分」

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