第2話 初対面
「君と会うとなると…緊張しちゃうなぁ…僕を楽しませてくれよ」
―――――
目を覚ますとそこは、宇宙のように
だが目をよく凝らしてみると分かる。高木の位置から100mほど前にイスが一つだけあった。
高木は
高木はこの空間に来た時点で脳のキャパが限界を超えていた。そのせいか高木は、
「よっ!!」
突如上から老人が降ってきた。
「おおおおおい!!起きろやぁぁ!!」
その老人の声によってようやく俺は意識を取り戻した。
「あ…?おれ…さっきまで試験会場にいたはずじゃ? 」
「今から話すことを、
余計な
「は…え?し…死んだ…??…どゆことっすか???はは…おれは試験会場で試験を受けていただけですよ!死ぬわけないじゃないですか!!」
焦りと困惑により少しずつ感情が
「…お前は脳がはち切れてしまったんじゃ。受験という気を抜くことのできないイベントで、脳の限界を超えてな…」
「………はい?」
(訳が分からんて。脳がはち切れる?なぜ?)
「いや…確かに、今思い返してみれば!!勉強を少ーししただけで、頭痛だったり
「酷なことに…これが現実じゃ」
そういい老人はホログラム画面のようなものを見せ、そこに現世の
その姿は、
「嘘…だろ?…まんま俺じゃねぇか…」
頭の悪い俺でも事の重大さが理解できてしまった。俺の表情はどんどんと青ざめていく。なす術もない
そんな俺の様子を見た老人は、すぐさま俺に駆け寄る。その表情は
「そんな!かわいそうな君にぃ!今ならビッグニュースがあるぞぉぉ!!」
にやにやとしながら俺を見つめてくるその老人は、なんとも薄気味悪い。
「そもそも、お前は……なんなんだ?」
「ん?僕かぁ…そうだなぁ…まぁ近い存在だと、君たち人間が
「神だぁ?頭おかしいんじゃねぇのか?」
「神に
「はぁ…お前の茶番に付き合ってやるよ。えぇ~転生券?なんだぁそれぇ?」
明らかに演技っぽい対応だが、それでも神を名乗るその老人の顔は追加でにやにやと歪んでいく。
「そ・れ・はぁぁ…僕が作った世界で、君の望むものを以て、スローライフを送ってもらうことさ。例えば、他者を寄せ付けない
(長すぎん?頭がズキズキなっちまうわ。)
「まぁまぁ、これからは補足情報ですぐ終わるからもうちょっと頑張ってくれ。」
しれっと神を名乗る謎の老人から思考を読まれたような発言をされたが、気づかない。それほどに脳が
「聞いてない…まぁいっか。それと、その世界の人から聞こえる言語は日本語だから安心してね。さらに、今回特別サービスとして、君の記憶、肉体を引き継がせてあげよう。まぁ、一度死んだといっても、複製というのは思想によっては転移というのかもしれないね。あと、神についての言及はできないよ。すまないね。」
(な…長い…話が長い…頭痛いぃ。こいつが作った世界?
響きだけ聞くとよさそうに聞こえるが、嘘を貼り付けまくっているようなその薄気味悪い顔により、
「そもそもさぁ…なんか魔王とかそういう存在とかはいないの?そういうのを倒すのが目的とか…」
「んー魔王自体はいるけど別に倒してほしいわけじゃないし…それに僕はただ単に、君にスローでセカンドなライフを送ってほしいだけなんだよね。君に平穏な生活を送ってほしいみたいな。」
「まぁまぁ。別に君を取って食おうとしてるわけじゃないんだから気楽に考えなよ。」
情報を出しているようで、何も出していない。そんな返答に俺はあきらめて、ギフト能力について考える。
「…例えば…そうだなぁ…すげぇ知能ってのはどうなんだ?」
俺は自身のコンプレックスである頭の悪さを
「んーー、なかなかに難しい質問だね。確かに君の中身を見たら誰しも頭を良くしてほしいと思うだろう。だけど…これから行く世界でのスローライフにその頭脳は必要なの?あくまで僕の考えなんだけど、
「グッ…」
確かにごもっともかもしれない。神が提示してきたのはスローライフだ。戦争、経営、それらと一切の関わりのないスローライフ。怪力ならともかく頭脳はスローライフに必要なのだろうか?わからん、わからねぇ!と思考を何とか巡らせる。
俺は悩んだ末に一つの答えを出す。
「なら…その世界で最強の存在になりたい!!」
いかにも中学生のような願いだが、もう考えるのが辛くなってくる頃合いだ。
「あぁ…良いよ!楽しそうじゃん!じゃあ、能力とかそこら辺は僕が勝手に決めとくね。」
「え?」
俺は若干困惑した。賢さがだめで最強の存在というのがOK?優劣はどうなっているのだ?となってしまった。
だがそんな
「じゃあ!!それでお願いします!!」
あれだけ薄気味わるがっていた神に頭を下げた。
「よぉぉぉし!!それじゃ転生儀式を始めるぞぉ!!」
そういい高木は少し身構える。未来の自分を見据え、過去
「はぁぁぁぁおおおおおお!!!」
神がそう念じると、神のいた謎の空間は光に包まれた。おそらくだが逆なのだろう。神目線だと俺が光に包まれのだと思う。
そうして
「最後に、俺の名前を教えておいてあげよう!!俺の名前は
『ハライドゥ・シュラン』だ!これだけはしっかり覚えておくんだよ!!」
去り際に、高木の耳から神の声が聞こえてきた。その声は、何かに期待する少年ような声色であった。
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