第7話 確定因果の法則
後のアリスによるとても丁寧な説明によるとこうだ。
このダンジョンがある場所が、アルカイン王国という国の領土内であり、国王はこのダンジョンの存在を心底鬱陶しく感じているのだ。
単なる人間では攻略どころか一階層を突破することすら厳しい、まさに難攻不落の迷宮ダンジョン
この状況はダンジョン側にとって些事にも過ぎず何一つ気に留めていなかったのだ。
ダンジョンを外側から破壊することなど有り得ず、それは法則として決まっている確定事項なのだ。よって、攻略以外にダンジョンを消滅させることは不可能。
攻略されればダンジョンも、ダンジョン内にいるもの──俺やアリス、クロなどその他大勢──、その全ての存在が消滅する。
いやはや恐ろしい。
そしてこの時期に出現した勇者の存在
200年に一度、勇者の子がこの世界に出現する。
勇者の存在意義は魔王を滅ぼすことにある。この200年という周期は魔王の魂が再び魔界に帰還する期間と同じである。
魔王は不滅であり、存在が消滅しようとも魂が滅びることはなくこの世界を彷徨い続ける。そして200年という歳月を経て魔界へ戻った時、今代の魔王が誕生する。
つまりはどの代の魔王も記憶と力を継承した同一人物なのだ。
そんなことがあっていいのかと驚きを隠せない。それでは時が経てば経つほど魔王が強くなってしまうのではないか、そう思って当然だ。
実際、前世の記憶と力を全て持って誕生した魔王はまた力をつけてさらに強くなる。しかし、それと同じように勇者も先代とは比べ物にならない強さで生まれる。
魔王が誕生し、勇者が現れる。そして勇者が魔王を撃ち滅ぼして勇者は寿命で息絶える。そして200年が経ち再び────
それが幾度となく繰り返される。
おかしな世界だなと思ってしまうが、これは勇者と魔王がもつ因果であり、起こるべくして起きる確定因果
この世界に定められたこと
──────その勇者がダンジョンを攻略しにやってくる可能性
「勇者が王国の所有物である限り、このダンジョンを攻めてきてもおかしくはない」
所有物なの!?と思ったが、どうやらそれはこのダンジョンができる遥か昔からそうなっていたため、アリスたちにもその真意は分からないのだとか。
ただ言えることとして勇者は代々の国王の命令に忠実に従うのだとか。
「仮に今代の勇者がここを攻略する気になれば我らは危ういぞ」
「勇者ってやっぱり、結構強いの?」
「一言で言えば、人類を超越した存在。それが勇者というものです。私たちから見ても人間は貧弱軟弱で毛ほどの存在ですが、勇者から見れば人間と私たちには大した差もないのでしょう」
つまりは圧倒的な強さを持っていて、正直なところ把握すらできていない。とアリスは言った。
それほどなのか……勇者というのは。
それなら魔王もその強さに匹敵する強さを持っているってことだよな。できれば関わりたくない人……なんだけど、それがここに来るかもしれなくて、もしかしたら俺はその勇者とご対面する可能性すらあるんだもんな………………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます