第2話 この世界のあり方
トテトテトテッ……トテトテトテッ
なんだろう、一歩二歩と歩くたびに謎のかわいらしい効果音が聞こえているようでならない。
アリスに用意してもらった鏡で自分の姿を確認してみると、やはり爬虫類系の何かなのだろうと考えられるんだけど、これポ〇モンでいそうじゃないか?
なんだろう、リ〇ードンの小さいバージョンが一番しっくりくるかもしれない。
「キュッ……キュゥッキュキュッ(ねぇねぇ、俺ってどんな生き物なのかな)」
「ドラゴンです」
一拍の間もなく即答した。
アリスは俺が転生したことから含めて全部知っているような感じだから、おそらく本当に俺はドラゴンなのだろう。
生まれ変わったら何になりたいか、なんていうお題でもう一回人間になりたいとは言わないタイプなんだけど、まさかドラゴンになるとは……
ファンタジー世界の生き物に転生したことに驚きというか、感慨深いものを感じる。
「キュゥ……(うおっ……)」
感触を踏みしめながら歩いていると、背後から脇に手を入れられてそのまま持ち上げられた。
「マスターの行動一つ一つがとても愛らしく癒されるのですが、何も遊んでばかりではこのダンジョンの王にはなれません」
ダンジョンの王……?なんじゃそりゃ
心地のいい感触に包まれながら抱きかかえられ、とある部屋へと連れていかれた。
アリスはこの世界に転生してきた俺のために、自らこの世界について様々な事を教えてくれた。
まさしく学校の授業のように、休憩をはさんでは丁寧に、全てを満遍なく、時間をかけて。
美人メイドにマンツーマンで授業をしてもらえる日が来るとは夢にも思っていなかった。
いやはや夢のような時間だ。
──さて、最初の授業はというとまずはこの世界のあり方というものだった。
スキルという異能力がこの世界に存在し、力の根源となっている。
スキルとは個々によってその性質、力は未知数であり発現方法も個人差に左右されるという。
「私のスキルは〈
「キュキュッ……キュゥゥッキュッキュッ(なるほど……でもそれってアリスの個人情報だろ、言っていいものなのか?)」
そのスキルの詳細を相手に話してしまえば、相手にとっては弱点を探るきっかけとなる。
「確かに個人情報と言えばそうなります。敵に情報が漏れれば対策を取られて負けるかもしれません。しかし私がマスターに個人情報を漏らしたところで何ら問題はありません。なぜなら私がマスターに隠し事をする必要がないからです」
おお……それはなんとも、信頼におけると言いますか、赤裸々すぎて聞く側も恥ずかしくなる。
「とまぁ、マスターもいずれスキルが発現することは確定事項なのでご安心を」
俺のスキル……いったいどんな能力があるのか、今から楽しみだ。
「大抵の戦いではスキルを主体として敵を葬るわけですが……」
物騒な言葉が出てきた。
「スキルの発現が叶わなかった者は魔法という力に頼って攻撃することがあります」
きた、ファンタジー世界の代名詞ともいえる魔法!やっぱり魔法の方がより異世界にやってきたという実感が湧くというか、ゲームにありがちなスキルよりは魔法の方が強そうだ。
「ただ魔法がスキルを根底から上回ることはほとんどあり得ません」
「キュキュキュキュッーー!!!?(なんですとォーーー!!!?)」
「私のように実戦で役立ちそうにないスキルから戦闘特化ともいえるスキルまで様々なものがあります。しかし、性質上からしてスキルと魔法ではその在り方が全く異なるもの。魔法とは──精霊を拠りどころとした力なのです」
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